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つみたてNISA、ロシア・ウクライナ戦争で暴落…すぐに売って損切りすべき?

文=武松佑季、監修=高山一惠
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つみたてNISA、ロシア・ウクライナ戦争で暴落
投資の素人が投資に挑戦(画像は「Getty Images」より)

 マネーIQゼロの筆者が、自腹で投資体験する本連載。これまで「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」を購入し、先に買った「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がなかなか好調に推移。「つみたてNISA、チョロくない?」という感想を抱いたのが前回までの流れだ。今月はどうなっただろうか。

大暴落でも「つみたてNISA」は慌てる心配なし

 6月に入り、「今月も、さぞ利益が出ているのだろう」と、左うちわで楽天証券のサイトを見て驚愕する。

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 ここまで4万5000円を投資して1998円マイナス。つまり、約4.4%の損失となっていたのだ。やはり、ロシアとウクライナの戦争の影響か。この調子だと、2年半でこの4万5000円が溶けてしまう。急いでこの投資分を引き出さなければならないのか。

「確かに現在(6月時点)、アメリカの株価の調子が悪く、円安、物価高騰、コロナ禍による中国・上海のロックダウンもあって、世界経済全体が下落局面になっています。初めたての人は不安になるかもしれませんが、そんなときこそ『つみたてNISA』は我慢が大事です」

 こう言って慌てないようにと諭すのは、本連載監修のファイナンシャルプランナー・高山一恵さん。投資の世界では、銘柄や投資スタンスにもよるが株価が下がり始めたらずるずると長く保有せず、被害を最小限にする“損切り”がセオリーだが、「つみたてNISA」の場合はどうやらその限りではないらしい。

「過去の相場状況をみると、上がり続ける相場もありませんが、下がり続ける相場もありません。以下は、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に、2008年9月から2022年6月まで毎月1万円積立投資をした場合の推移の図です」

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 コロナショックなど一時的に大暴落を起こすタイミングはあるものの、なるほど長い目で見れば右肩上がりになっている。特にアメリカは、中長期的に経済成長を続けてきたようだ。つみたてNISAのように毎月一定額を買い付ける積立投資では、価格が高い時には、少ない口数しか買い付けできないが、価格が低い時には多くの口数を買い付けることができる。その結果、平均購入単価を下げる効果があり、相場が上昇に転じた時には、利益を得られる可能性が高い。だから「つみたてNISA」は途中で売ってはいけないということらしい。しかも、その利益がばかにならない。

「たとえば、月に3万円を利回り5%で10年間積み立てたとしたら投資元本360万円に対し、約465万円になっているので、105万円の利益が出ることに。20年積み立てると、単純に倍ではなく複利が働くので、利益はなんと510万円にもなるんです。利回り5%の銘柄自体が珍しいのではないか、と思うかもしれませんが、世界経済の成長率が3~4%といわれているので、国際分散投資を心がければ、決して高すぎるわけではありません」

 毎月3万円の投資を5%で運用できれば、20年で510万円もの利益が出るとは驚きだ。ちなみに、銀行の普通預金の利息が年0.001%の時代である。もちろん、積み立てた分も自分のお金だから、投資元本720万円が1230万になって返ってくる計算だ。もはや銀行に預けるのがばからしくなってきた。

 本当に、コツコツと積立投資をすることが有効なのか、金融庁が出している1995年から2015年の20年間の推移をグラフで確認してみよう。

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 銀行の定期預金(A)がほぼ横ばいなのに対して、国内の株・債券への投資(B)、国内・先進国・新興国への株・債券の投資(C)を比べてみると、その差は歴然。過去の推移といえども、銀行に預けるよりも「つみたてNISA」。そして、暴落しても慌てない。その2点を、今回のことから学ぶことができた。

 しかし、シンプルな疑問だが、世界経済はこのまま成長し続けるものなのだろうか。どこかで頭打ちが起こりそうな気もするが。

「世界経済は、右肩上がりで成長を続けています。ロシアのウクライナ侵攻や世界的なインフレの影響がある現在でも3.6%程度の成長が期待できます。もちろん、人類滅亡の危機のような出来事が起こらないとも限りませんが、当面は世界経済は成長するとみてよいでしょう」

 高齢者の年金支給額の高さを羨み、恨めしくさえ思っていたが、よほどの事が起きなければ、自分が生きている間は大丈夫かもしれない。ともかく、今後も「つみたてNISA」を続けていくことを心に誓った。

楽天ポイントを利用して株や投資信託を買うことができる

 それはそれとして、そろそろ株にも手を出してみたい。しかし、株は100株単位、数十万円からしか買えないイメージ。それはちょっと手が出しづらい。

「投資には『単元未満株』といって1株単位で買えるものがあります。楽天証券では残念ながら単元未満株を扱っていません。楽天ポイントを使って株を購入することができますが、株の購入代金と手数料に利用できるというもの。投資信託なら100円から買えますので、ポイントで買えそうですね」

 現在筆者の楽天ポイントは5500。楽天ポイントを利用して株を購入するか、資金的に厳しいので、ポイントで投資信託を購入するか、単元未満株を購入できる証券会社に口座を開設するか……。悩ましいところだ。

(文=武松佑季/フリーライター)

監修:高山一惠/(株)Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー1級
慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立し、10年間取締役を務めた後、2015年より現職へ。女性向けメディア『FP Cafe』『Mocha』の事業に注力。全国で講演活動・執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。

<主な著書>
『はじめてのお金の基本』(成美堂出版)
『はじめての資産運用』(宝島社)
『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)
『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)

武松佑季/フリーライター

武松佑季/フリーライター

1985年、神奈川県秦野市生まれ。編集プロダクションを経てフリーランスに。インタビュー記事を中心に各メディアに寄稿。東京ヤクルトファン。サウナー見習い。

Twitter:@yk_takexxx

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