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スマホ撮影NGの飲食店、その意外すぎる理由…損害受け多額の出費を強いられる店も

文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表
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スマホ撮影NGの飲食店
(「gettyimages」より)

 飲食店で客が料理や店内をスマホで撮影する風景は、今や当たり前になったが、7月にあるTwitterユーザーが投稿した以下のツイートが話題を呼び、客によるそうした行為によって店側が被る“意外な損害”が知れ渡りつつあるようだ。

<撮影距離を稼ぐため(焦点距離50mmとかだと小さいテーブルは近すぎたりする)に、カメラを持つ手と反対の手で無意識に皿を数センチ奥にやる人がとても多く、貴重なお椀など底がテーブルと当たって傷つくのだそうな。「皆さん無意識にされているので注意も出来ないんですよね」とのこと>

<お椀と同時にテーブルも傷つく。テーブルはクロス無し。その店は、それで2年ほど前に天板を全卓新しくしたそうだ。絶句…どれだけの出費だっただろう>

 店内での写真撮影お断りの店は少なくないが、都内の日本料理店店主はいう。

「ウチは明確に撮影禁止とは謳っていませんが、無断でパシャパシャ撮られるのは、はっきり言って気分的に不快です。たとえば突然、知らない他人から自分の顔にカメラを向けられ無断で撮られたら不快ですよね? それと同じです。

 もちろん料理の盛り付けや店内の清潔さには注意を払っていますが、お客さんが箸で崩した後の料理を撮影して、それをネット上にアップすれば、それを見た人から『盛り付けが雑』と思われてしまう恐れもある。また、好みの味には個人差があり、万人に受ける料理などないのに、たまたまその人の舌に合わなかったからといって低い点数を付けられることだって考えられる。実際に『食べログ』などでウチの店への評価も載っていますが、ウチは基本的には馴染みの常連さんがメインなので、そんな評価は求めてないわけです。本当にいい迷惑」

 逆に、客のSNS投稿を推奨して店のPRにつなげようとしている店も存在する。都内でレストラン・バーを経営する人物はいう。

「ウチの店はどこの駅からも遠く、芸能人なども出没する静かなエリアにあり、アクセスしにくいけれども隠れ家的で“敷居が高い”と感じさせるイメージがウリ。店内は内装や雰囲気づくりにかなり凝っているので、そういう写真と口コミがSNS上で広がってくれるとありがたい。なのでお客さんには、わざわざ店内を案内して『撮っていただいて結構ですよ』と促したりもしてます。今のところ、SNS上で写真が拡散されることによるデメリットは感じたことはないですね」

 店によって姿勢は分かれるようだが、この“客によるスマホ撮影”問題の根深さについて、自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏に解説してもらった。

他のお客さんが映り込むと問題が生じる

 店内や料理の撮影を禁止しているお店もありますが、その理由が「撮影するときに皿を数センチ奥にやる人が多く、貴重なお椀など底がテーブルと当たって傷つくから」というのは、高級店がゆえの悩みで、例外の部類と思われます。たしかに、高級店を中心にカウンターやテーブル、食器には高価なものを使っているところが多いので、気を使っている店主もいて、なるほどの理由だと思います。

 実際に備品や設備に傷がついたり破損した場合の法律的な解説は専門家の方に譲るとして、明らかにお客さんの過失で破損させてしまったら、損害賠償義務が発生し、弁償しなくてはならないでしょうが、実際は消耗品扱いとして弁償を求めるお店は少なく、お店には具体的な被害や損害が発生してしまいます。また、お客さんの過失としても、高級品全額の弁償を求めるかどうかは状況によって変わるでしょうから、お互いにイヤな思いをしないで済むよう、それを未然に防止するという観点で撮影禁止にするというお店があってもおかしくはありません。

 しかし、前述のとおり、これは高級店ゆえの「例外」の部類で、一般的には「料理は撮影OK、店内撮影はNG」というお店が多く、「他のお客さんが映り込むと問題が生じるから」というのがその理由です。店内でカメラをいろいろな方向に向けてカシャカシャ撮影するのは、せわしないし、「自分が映り込んでしまっているのでは」と不信感を抱くお客さんも出てくるでしょう。

「料理もNG」というお店は、料理の盛り付けやアイデア、素材などの「情報」が流出してしまうのを嫌がったり、撮影に時間を費やして食べてほしいタイミングで食べてもらえない、他のお客さんが静かに食事をしているのにお店の雰囲気を壊す、など様々な理由があります。ほかにも、昔ながらの職人堅気のお店では「なんかイヤだ」という気分的な理由もあったり、過去に口コミサイトやSNSで悪い評価を書かれたことがある店主がナーバスになっているということもあります。

 撮影に対するお店側のスタンスはさまざまですが、最近ではウェルカム派のほうが多いと思います。やはりSNSへの投稿は店の宣伝になりますし、「自分の食べた料理や行ったお店を撮影したい」というお客さんの気持ちを無下にはできないからです。SNSに上げないまでも、記録や思い出として残したいという人もいるでしょう。

 もっとも、「撮影は控えていただきたい」というお店もありますから、店側に「撮影しても大丈夫ですか?」と一言確認したほうが無難です。「どうぞどうぞ!」とポーズをとってくれたり撮影シーンを用意してくれたりとサービス精神旺盛なお店もありますし、「料理だけなら」「他のお客様が写らない程度に」など、何かしらの指示をもらえることもあるので、店の意向に即した撮影ならトラブルになることもないことでしょう。

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

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