今回は、飲食業のコンサルティングをしていて最近よく聞かれる質問のなかから、ひとつご紹介したいと思います。それは、
「お店は禁煙にしたほうがいいでしょうか?」
というものです。
山手線都心部、特に千代田区・中央区・港区を中心に飲食店の禁煙化が進んでいます。もちろん都心部でなくても世の中の流れを受けて、禁煙のお店はどんどん増えています。今年に入って厚生労働省は、30平方メートル以下のバーなどに限り例外として喫煙を認めるが、レストランや居酒屋などは屋内禁煙(喫煙専用室の設置可)とする法案提出を進めています。そのため、「これからどうすべきなのか?」と悩んでいる飲食店のオーナーさんから質問を受ける機会が増えています。
私の答えはいつも「禁煙でいいんじゃないですかね~、その代わり喫煙できるスペースは店内・店外どちらでもいいので、確保してください」と気軽に返事をします。
その答えを聞くと、オーナーさんはすぐには納得してくれません。「でも、今までの喫煙者の常連さんが来なくなってしまうかもしれないので、現実は難しいのではないでしょうか?」との返事がかなりの確率で帰ってきます。確かに、わざわざ質問するのですから、「禁煙にしたほうがいいのかな……。でも常連さんの反発があると売上に影響して怖い」と悩んでいるのでしょう。
「まだ見ぬ売上」
しかし、私が禁煙でいいのではないかとお答えするのには、理由や他店での結果があります。まずは、オーナーさんの考え方はこうです。
「月商200万円の売上のうち、喫煙者が50%いるので100万円分の売上に該当する。禁煙にしたら100万円の売上が減ってしまい、月商は100万円になってしまうのではないか。これではやっていけない」
しかし、他店での検証結果では、そうなりませんでした。
【月商200万円の店の場合】
喫煙者の売上分100万円のうち40万円分のお客さんは失った。残った60万円分のお客さんは、面倒ながらも喫煙所に煙草を吸いに行ってくれる。代わりに禁煙になったことで、女性客やファミリー客を中心に今までそのお店を敬遠していたお客さんが来るようになり、60万円が発生した。結果、月商は220万円に上がり10%の売上増となった。
今、煙草を吸う人の中には、「まったく気が利かない人(歩き煙草を平気でする人、周りの人を気遣うことなく煙草の火をつける人)」もいれば、「周囲を気遣いながら煙草を楽しむ人」がいます。どちらかというと世の中の流れを感じ取り、周りを気遣ってくれる人が増えてきています。それらの人は、客席で煙草を吸わなくても「吸っていいスペース」さえちゃんと用意してあれば、気兼ねなく吸えますから納得してくれることが多くなっています。