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厨房に大量ナメクジ、肉や卵を常温保存…大阪王将、不衛生騒動の裏に根本的経営体質

文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表
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大阪王将のHPより

 大手飲食チェーン「大阪王将」の仙台中田店で、日常的に厨房に大量のナメクジやゴキブリが発生していることや、食品の不衛生な管理実態などが告発され、保健所が立ち入り検査に入るなどの騒動に発展している(注:「大阪王将」と「餃子の王将」の運営元は別会社)。

 事の発端は、大阪王将の仙台中田店の元店員とされる男性がTwitter上で投稿したツイートだった。この男性は同店の衛生管理の現状について次のように告発し、警鐘を鳴らしたのだ。

<たまごを割るのにでっかい鍋みたいなの使ってるんやけどよくナメクジが中にいる みんな気付かずに普通にそこで生卵割ってます!わら 広東住血線虫ってやばい寄生虫ガンガン付いてるけど気にするな!わら>(原文ママ、以下同)

<ナメクジは出ちゃうんだよねwって言われたんだけどナメクジ出たとしても食器や調理器具や冷蔵庫の外も中もナメクジがガンガンいるのって普通なんですか?>

<ホールに当然のようにゴキブリ出てその度にワイが呼ばれて倒しに行く>

<中田店で野生の野良猫を飼っててみんな普通に抱っこしたりしてたしそのまま料理作ってた>

<中華丼に入る肉などを事前にボイルして火を通しておくんやけどほとんど火を通さずほぼ生の状態で一日中常温放置してたね その肉使って料理してたのはあまりにも衝撃的だった>

<くっそ安いたまご発注してるから要冷蔵のたまごなんだけど普通に五日間とか常温保存してる トイレの扉の前のベンチに>

(フォロワーからの「生ビールサーバーとか、どのぐらいの頻度で清掃してました?」との質問に対し)

<え?ビールサーバーって掃除するんか? 知らんかった>

杜撰なコロナ対策

 さらに、この店舗は宮城県の「みやぎ飲食店コロナ対策認証制度」で認証を受けているが、実際には杜撰なコロナ対策しかなされていないとして、次のように綴っている。

<コロナ対策認証店舗の監視員が来る直前に二酸化炭素濃度の集計表を数ヶ月分手書きさせられました>

<コロナ対策の監視員が来る日以外はまともなコロナ対策を一切しておらず、換気どころか換気扇を停止してました>

 このほかにも、アルバイト店員の勤務時間を過少申告させたり、実際に行った深夜残業分の時給を支払わないなどの不当労働行為についても訴えているが、一連の投稿を受け大阪王将を運営するイートアンドホールディングスは25日、

「当社フランチャイズ店舗の大阪王将 仙台中田店に関する書き込みが掲出されております。お客様および関係者の皆様に、多大なご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。

 現在、事実関係につきまして、保健所とも連携の上、検査および調査中です。調査結果並びに今後の対応につきましては、速やかに大阪王将公式ホームページ上にて、あらためて情報発信をいたします」

とのコメントを発表。

 仙台市保健所は25日に同店への立ち入り検査を行ったが、25日付J-CASTニュース記事によれば、害虫などは確認されなかったものの厨房内で清掃が行き届いていなかったため、清掃や消毒をするように指導されたという。また、今年の3月以降、食品衛生責任者が店舗に配置されていなかったという。

 ちなみにこの元店員は、

<本部のエリア管轄のバイザーがしっかり店舗チェックしてれば起きなかった問題だよね? バイザーは来て店長と話して帰るだけだよね?>

とも投稿してるが、一般的に大手外食チェーンでは本部がマニュアルの策定や店舗指導、定期的なチェックなど通じて店舗の衛生管理をしっかりと行っているという印象が強いが、なぜ大阪王将のような事象が起きているのだろうか。自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏に解説してもらった。

江間氏の解説

 今回のような飲食店における衛生環境の悪さですが、悲しいことに現実にあり得るといわざるを得ません。チェーン店か個人店かというくくりは、あまり関係ありません。几帳面でこまめな店主の衛生管理は、しっかりしていますが、世の中には「ずぼらな」性格の店主もいますので、そういうお店は「疲れたな~」「いつかやればいいか~」と衛生管理を後回しにしてしまいます。

 害虫駆除に関しても、日ごろの衛生管理はもとより、駆除業者を使う手もありますが、店の責任者によっては「これはたいへんだ! 早急に対処しよう」という人もいれば、「業者に頼むとお金がかかるから、自然に解決するまで待ってみよう」と先送りしてしまう人もいます。

 大阪王将のようなチェーン店だと、マニュアルがちゃんとしていて、衛生管理をしっかりやっていそうですが、実際にそれを行うのが誰かとなると、正社員の店長やアルバイト・パート店員です。「カラオケボックスやチェーン店では生ビールのサーバーの洗浄をしっかりしてないから、生ビールは避けたほうがいい」という話を聞くことがありますが、それも、しっかりやっている店舗もあれば、手を抜いている店舗もあります。本部や店舗で決めたルールを実行するのは現場です。

 私は飲食店の厨房を見せてもらうことが多々ありますが、状況は本当に様々です。とても綺麗でピカピカな厨房もあれば、「ここのお店の料理は食べたくないな」と思ってしまう厨房もあります。そのような厨房は、たいがい店主が現場にいなくて、責任の所在が明確でないスタッフだけで運営していることが多いです。「自分じゃない誰かがやってくれるだろう」と思って衛生面についてスルーしているスタッフが多いように思えます。

 そして、衛生面におけるトラブルが起きる根本的な理由は、現場の「忙しさ」です。衛生管理がしっかりできていない店のスタッフは、たいがい忙しく、日々の業務に追われています。さらに今は人手不足が追い打ちをかけています。店や本部が採算性・効率性を考え、ギリギリの人件費=最低限の人員配置を行うことによって、現場は衛生管理まで手が回らなくなっています。経営として利益を追求したはずが、食中毒や今回のようなバイトからの告発・暴露等のトラブルが起きて、逆に大きな損失となって、しっぺ返しを受けてしまうのです。

 数字上の「現場を回すのに必要な最低人員配置」にとらわれ過ぎて、チェーン店を中心にいろいろな問題が最近多発しているように思えます。

「サービスの向上や、衛生管理、付加価値創造など、そこまで織り込んだ人員配置を考えているか」

「売上をつくるのは現場のスタッフであり、彼らがやりがいもって働けているのか」

「スタッフの健康管理も考えているか」

といった点がおざなりになっている店は、人材の流出やトラブルの発生などで自然淘汰されていくことと思います。

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

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