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なぜGoogleが印西市にDC設置?注目の千葉ニュータウン中央駅、どんな場所?

文=Business Journal編集部
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千葉ニュータウン中央駅(北総鉄道のHPより)

 Google(グーグル)が千葉県印西市に同社としては日本初となるデータセンターを稼働させることがニュースとなり、「なぜ印西市?」「千葉ニュータウン中央駅」というキーワードがSNS上で話題を呼んでいる。

 世界の検索エンジン市場で7割以上のシェアを占めるとされるグーグル。日本国内でもYahoo!(ヤフー)やbing(ビング)などを抑え圧倒的なシェアを誇り、「Gmail」や「Google カレンダー」「Google マップ」「Google ドライブ」など、便利で人々の生活・ビジネスに役立つサービスを数多く提供する、まさに「ネット界のガリバー」と呼べる存在だ。

 一方、その圧倒的な強さが各国で軋轢を生むことも。2018年、EU(欧州連合)の欧州委員会は、グーグルが自社OS「アンドロイド」を搭載する携帯端末に自社の検索・閲覧ソフトを搭載することを求めていることが独占禁止法違反に当たるとして、約43億4000万ユーロ(約6200億円)の制裁金を科すことを決定。これに対しグーグルはEU司法裁判所に異議を申し立てた。

 また、同じく欧州委は17年、グーグルが自社の商品比較サイト「グーグル・ショッピング」を競合他社のサイトより目立つように表示させていたとし、ネット検索での支配的地位を使った独占禁止法違反にあたるとして、約24億2000万ユーロ(約3150億円)の制裁金を科すことを決定。グーグルはEU司法裁判所に異議申し立てを行うなどして、対立が深まっている。

 一方、日本でもグーグルへの規制の動きが出ている。経済産業省は今月3日、デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、グーグル、Facebookなどを運営するメタ、ヤフーの3社を、適正な取引を促す法規制の対象に指定。立場の弱い広告主との公正な取引を促すため、取引条件を変更する場合の事前通知や政府への報告書提出を義務づけることなどを決めた。

 そうした動きのなか、グーグルのピチャイCEOは7日、首相官邸を訪問して岸田文雄首相と面会。日本のデジタル化支援のために2024年にかけて総額1000億円を投資することを発表し、日本政府と良好な関係を維持する姿勢を見せている。

強固な地盤と地震災害リスクの低さ

 このニュースをめぐっては、グーグルが千葉県印西市に同社として日本初となるデータセンターを23年に稼働させる方針であることがSNS上で話題に。Twitter上では

<千葉県印西市にデータセンターってなんで?>
<ようやく我らが千葉県の真の力が日本国民にも知れ渡ったようだな>
<既にAmazonとかNTTとかデータセンタ集積地になっていて 既に人も通信回線などインフラも全部整ってるのよ>

<印西。夜中に障害対応で呼び出されても電車終わってるし高速のICも近くにないし>
<最近になって地震に強い事がわかり、千葉ニュータウン中央付近に大企業が進出するようになる>

といった声があがっている。

 実は印西市は以前からデータセンターの集積地帯として知られる。その理由は、なんといっても強固な地盤と地震災害リスクの低さだ。印西市は強固な洪積台地として知られ、数十キロ圏内に活断層がなく、海や一級河川からも離れているため、ハザードマップ上は洪水、土砂災害、液状化のリスクが低いと評価されている。

「通信事業者の相互接続ポイントであるIXP(インターネット・エクスチェンジ・ポイント)が東京・大手町に密集しており、そこから目安である50km以内であるという点や、人口密集地である都内から50km以内であるという点、海底ケーブルの陸揚げ局が千葉県の南房総にあり、特にグーグルのようなグローバルIT企業にとっては海外ネットワークとの接続性に優れている点も大きいだろう。

 また、データセンターの立地条件としては広大な土地を安く使えることが重要になってくるが、もともと千葉ニュータウンの整備計画地だったため大きな面積の土地を確保しやすい点も大きい。そのほか、最寄りの千葉ニュータウン中央駅は、京成成田スカイアクセスアクセスと都営浅草線を使えば日本橋まで約40分、成田空港まで約20分で行けることも、グーグルのような外資系企業にとっては魅力的」(大手IT企業社員)

電力、ネットワークインフラ、機器メンテナンス

 また、これ以外にも利点があると別のIT企業社員はいう。

「データセンターは膨大な量の電力を消費するが、システムを止めることが許されないため、大量の電力を安定的に提供される必要性があり、データセンターが同一エリアに集積することで、電力会社側もそのエリアに重点的に設備を整えるようになる。また、データセンターにはこれまた膨大な量のシステム機器が設置されるが、各社のデータセンターが一カ所に集中してくれることで、機器の障害やメンテナンスに対応する機器メーカー各社は保守サービス拠点を集約しやすくなり、結果としてデータセンター側は迅速な対応を受けやすくなり、両者にとってメリットが生じるという点も大きい。もちろん、すでにデータセンターが集積しているのでネットワークインフラが整っている面も安心だろう」

 実際に千葉ニュータウン中央駅周辺には、みずほ銀行や三井住友海上火災保険、三菱UFJ銀行、富国生命といった大手金融機関や三菱総研、NTTデータのデータセンターが立ち並び、NECとSCSKも今年4月に共同で新たなデータセンターを設置。また、大和ハウスは現在、日本最大級のデータセンター「DPDC印西パーク」を開発中で、25年までに14棟、総延床面積約33万平方メートルの施設を完成させる予定だ。

 そんな千葉ニュータウン中央駅周辺エリアとは、どのような場所なのか。

「もう10年ほど前の話だが、私が担当する某大手金融機関のデータセンターが千葉ニュータウン中央駅から徒歩25分くらいのところにあり、足しげく通っていたが、まず、都内からだと東日本橋から都営浅草線~北総線を使って往復2000円以上かかり“高い”という印象が残っている。

 都内とは真逆でとにかく“土地が余っている”という感じで、駅から一番近い三井住友海上火災の高層ビルに行くにも徒歩だと10分くらいかかるので、夏はさえぎるものもなく暑いのでタクシーに乗ってしまう人もいた。駅から北東に伸びる道沿いには、三井住友海上火災、みずほ銀行、NTTデータ、SCSK(当時)などの巨大なデータセンターが立ち並ぶ一方、広い道路には道行く人影はほとんど見当たらず、異様な光景だった印象がある。

 そのエリアにはなぜか飲食店やコンビニは見当たらず、働く人たちはみなデータセンター内の食堂でランチを済ませることになる。千葉ニュータウン中央駅の前にはアルカサールという飲食店が軒を連ねた商業施設があり、夜になると駅から東京方面に帰る前に腹ごしらえをしたり、飲み会をするデータセンターの従業員たちが見られたが、電車の本数が少ないので、みんな“次の電車の時間”を気にしながら飲んだり食べたりしていた。グーグルが来ることで、そうした光景がどのように変わるのか気になる」(IT企業社員)

BusinessJournal編集部

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