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輸入車の購入者から悲鳴続出!契約後に価格高騰→納車時に数十万円高く請求される例も

文=萩原文博/自動車ライター
輸入車の購入者から悲鳴続出!
シトロエン「ベルランゴ」(公式サイトより)

 新型コロナウイルス感染症拡大や世界的な半導体不足による新車の納期遅延は、国産車だけでなく輸入車にも波及している。さらに、原材料の価格上昇、そして原油価格高騰による輸送費の上昇などの理由により、輸入車の価格上昇が止まらない状況だ。

 注文した時と登録・納車の時の車両本体価格が異なるケースが多発し、SNSでもユーザーから悲鳴が上がっている。そこで、今回実際に販売店に取材して実状を調べてみた。

 SNS上でやや炎上気味となっているのが、ステランティスグループ。フランス車のシトロエンやプジョー、イタリア車のフィアット、アルファロメオ、アメリカ車のジープなど8つの自動車メーカーを統括するグループだ。

 そのステランティスグループのシトロエンを例に、新車価格の推移を見てみる。リアにスライドドアを採用したハイトワゴンとして人気の高いシトロエン「ベルランゴ」。その売れ筋グレードである「シャイン ブルーHDi」の2021年の車両本体価格は352万7000円だった。

 2022年1月に価格変更を行い11万7000円増の364万4000円となり、6月の価格変更で376万4000円に上昇。そして7月の価格変更で385万4000円、8月の価格変更で393万1000円。10月の価格変更では411万2000円となり、この10カ月で46万8000円も値上がりしているのだ。

 輸入車の場合、在庫があるケースを除けば、注文をしてから大体3カ月位を目処に納車される。しかし、現在はコロナウイルス感染症拡大や世界的な半導体不足など、さまざまな要因によって新車の納車時期は延びている状況だ。

 仮に、シトロエンベルランゴシャインブルーHDiを8月に注文した場合、車両本体価格は393万1000円だったが、運良く3カ月で納車されたとしても、11月の時点では車両本体価格は411万2000円となり、18万1000円も値上がりしている。

 しかもSNS上には、「値上がり前の価格で注文したから、その価格でいい」とスタッフが話していたのに、いざ登録・納車の時点で、その時の新車価格で購入ということになっているとして、憤りにも似た悲鳴が上がっているのだ。

契約後に価格が高騰した場合、支払うべき額は?

 筆者も2021年4月にステランティスグループの新車を購入している。そこで、自分の自動車注文書を今一度見直して見た。すると、自動車注文書の裏面に約款が書かれているが、第4条に「契約の成立時期」という項目がある。

【第4条「契約の成立時期」】

①この注文による契約の成立日は下記各号のいずれか早い日とします。

1.自動車の登録がなされた日

2.注文により販売会社が改造、架装、修理に着手した日

3.販売会社が購入者に自動車を引き渡した日

②信用購入あっせん契約(信用購入あっせん業者と購入者との契約をいう。)の場合には、その契約の定めるところによるものとします。

 このように書かれているのだ。②はローン会社との契約の話となるだろうが、基本的に自動車が納車されてからローンの引き落としは開始されるはず。注目なのは①の1だ。契約成立日は「自動車の登録がなされた日」となっている。つまり、注文した日に契約は成立しておらず、自動車の登録がなされた日が成立日なので、その時の新車価格で正式な契約となると、約款には書かれているのだ。

 一般的に、契約書に署名・捺印をすれば契約が成立したものと筆者も思っていたが、実はそうではないということがわかったのだ。

 筆者の担当営業者に話を聞くと、「注文書の裏の約款どおり、契約が成立するのは注文した時ではなく登録した時で、登録時の車両本体価格で購入していただくことになります。しかし、すべてのお客様が納得してくださるわけではありません。自動車メーカーはまったく対応してくれないので、我々販売店はお客様と話し合いをしてディーラーが一部負担することで折り合いを付けてキャンセルを回避しています」と話してくれた。

 正直言って、販売現場も困惑しているのが現状のようだ。実際のところ、販売店もこんなに頻繁に値上がりすることは予想していなかったのだろう。SNS上では、「『この日までに契約すれば、この価格ですから』と営業マンが言った」と書かれている。注文書の約款には、そうではないと書かれているので、仮に言ったとすれば営業マンの責任は重い。

 しかし、こういう状況下なので、ユーザーも契約時に営業担当者に納車時期と価格のことに関しては、しっかりと確認して、念書を書いてもらうなどの防御策を取ることも考えたほうがいいだろう。

 納期遅延を多く抱える国産メーカーの中には、注文する際に“納期遅延のため納車までの間に改良が行われて価格が上昇しても、その価格で購入する”という念書を取っている。想定外の状況だけに、販売店もユーザーもしっかりと自己防衛をする必要があるのだ。

(文=萩原文博/自動車ライター)

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