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東京都・新事業発掘プロジェクト「GEMStartup TOKYO」PRイベント:報告レポート

文=横山渉/ジャーナリスト
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東京都産業労働局商工部創業支援課長・三角知恵人氏

 東京都は2020年度から、民間企業で培われたノウハウやアイデアを、起業や新事業創出へ結びつける取り組みとして「新事業発掘プロジェクトGEMStartup TOKYO)」を実施している。GEMは「原石」意味する。

 6日、その機運を盛り上げるためのPRイベントが都内で行われた。主催者である東京都産業労働局商工部創業支援課長・三角知恵人氏のあいさつの後、運営事務局の黒部遼氏が本事業について説明し、イベントの第一部と第二部に移った。

カーブアウトはVCとの厳しい条件交渉を覚悟すべし

 第一部は、株式会社デンソー新事業推進室担当部長兼株式会社OPExPARK(オペパーク)取締役副社長の奥田英樹氏が「転換期を迎えた中でのカーブアウトの重要性」をテーマに基調講演を行った。「カーブアウト」は、企業が自社事業の一部門を切り出し、社外事業として新しい企業を独立させることだ。大企業はしばしば、主力とはなりえないものの競争力のある事業を、社外にベンチャー企業として設立する際にこの手法を使う。

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株式会社デンソー新事業推進室担当部長兼株式会社OPExPARK(オペパーク)取締役副社長の奥田英樹氏

 奥田氏は09年に社内公募制度を利用して新事業推進室で手術支援ロボット等の開発に携わったが、デンソーは医療分野については外に切り出していち早く国内、そして海外にも広げられる体制を付くべきだと決めた。これにより奥田氏は、手術などに用いるさまざまな医療機器(手術台、顕微鏡、医用画像ほか)を接続できる情報プラットフォーム「OPeLiNK(オペリンク)」の技術を基に事業展開するベンチャー株式会社OPExPARK(オペパーク)をカーブアウトさせて設立した。OPeLiNKはデンソーが開発したものだ。

「デンソーの強みであるセンサーとロボット技術などで得られたプラットフォームで医療機器にパラダイムシフトを起こしたかった」と起業時の熱意を語る。

 スタートアップにはVC(ベンチャーキャピタル)を含む金融機関などからの資金調達は必須だが、奥田氏は「VCとの条件交渉は思いのほかシビアだった」と語る。例えば、社長の人選では「サラリーマン社長はダメ」と言われ、サラリーマンへの信頼度の低さを痛感したという。その上で、「資金を得て事業を加速させるには、VCに主導権を渡すことが重要」と話す。

 奥田氏はカーブアウトのメリットとして、必要な人材を必要なタイミングで採用することができるダイバーシティを挙げる。コロナ禍、ウクライナ情勢、SDGs、少子高齢化などビジネス環境は目まぐるしく変化しており、そうした転換期の中で、現在の判断が将来正しいとは限らない。経営に曖昧さと柔軟性を残したカーブアウトこそが成功の秘訣だと締めくくった。

カーブアウトして失敗した人を温かく見る社会を

 第二部は、ユビ電株式会社CEO&Co-founder博士(システム情報科学)の山口典男氏と、ソニーベンチャース株式会社シニアインベストメントダイレクターの鈴木大祐氏によるパネルディスカッション。「企業の未来を切り開く“カーブアウト”とは」をテーマに、カーブアウトの成功事例やスタートアップが育つことで実現する未来について語った。

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ユビ電株式会社CEO&Co-founder博士の山口典男氏と、ソニーベンチャース株式会社シニアインベストメントダイレクターの鈴木大祐氏

 山口氏はソフトバンクの社内イノベンチャー制度における事業プランで優勝したものの、メイン事業が通信の同社では事業化できず、2019年4月にユビ電をカーブアウトさせ、EV充電サービス「WeCharge」をスタートした。

 同氏は企業に対する要望として「カーブアウトした人を温かく見守ってほしい。ダメだったら企業が再雇用するくらいの柔軟性がほしい」と話し、「何人かが共有する幻想みたいなもので動ける環境が社内にあればカーブアウトしやすくなる」と話す。

 VCに対しては「論理を求めるだけでなく、直感的に投資する人が増えてほしい」と期待を語った。ソフトバンク時代、孫正義社長は山口氏のプランを聞いて「いいにおいがする」と言って投資してくれたという。

 鈴木氏はゴールドマン・サックススを経てJAL経営再建業務に参画したのち、ソニーベンチャーズ株式会社を設立。カーブアウトの相談や成功事例は増えているといい、カーブアウト専用のファンドを作るVCもあるという。会社側のカーブアウトのメリットについてこう話す。

「社内で育てた技術の芽やビジネスシーズがあっても、時代とタイミングによっては予算を付けづらいときがある。しかし、そのままではもったいないし、自社で全部事業化する時代ではない」

 日本発のスタートアップには何が必要かという質問に対し、「失敗しても何とかなっている事例を増やすことが必要。成功事例を見ていると、(お金より)思想や思いが同じ人たちの強いつながりだと思う」と答えた。

現在も参加者募集中。プログラム開始後の参加も可能

 GEMStartup TOKYOは、企業の中にあるシーズを発掘してイノベーションを起こすために、3つのプログラムを用意している

(1)新事業エントリープログラム

 新事業創出に意欲・関心のある人が対象。起業や新事業創出のために必要なマインドや知識を得るため、講義、動画コンテンツ、ワークショップ、メンタリング、模擬ピッチ等が行われる。

(2)事業化プログラム

 解決したい課題・アイデアがある人、簡単な事業計画がある人が対象。ビジネスプランのブラッシュアップ、ピッチ大会、メンタリング、VC等とのマッチング支援等を実施し、事業化に向けた支援を行う。社内で検討したが進まなかった事業や、スタートさせたい事業をブラッシュアップさせる。

(3)新事業創出に向けた企業支援プログラム

 新事業創出に向けて課題を抱えている企業が対象。自社内のアイデア・シーズ・人材等を活かして新事業を創出する意欲のある企業の担当者向けに、有望なアイデアを次年度以降に社内で推進していくためのコンサルティング支援を行う。事業化プログラムのモニタリング、予算獲得に向けた稟議支援、事業推進に向けた体制構築支援などのプログラム。企業内での社内起業や新事業創出をサポートする。

 この事業では、分野を超えた起業家やベンチャーキャピタリスト、各分野のプロフェッショナルなどがメンターや講師陣を努め、サポートする。プログラムはすべて無料だ。オンラインとオフラインで夜間に開催される。これまでは大企業に所属する人の参加者が多いという。参加者通しの新しいネットワークを作ることができ、事業をブラッシュアップできるので参加するメリットは大きいだろう。現在も参加者募集中で、プログラム開始後の参加も可能だ。

(文=横山渉/ジャーナリスト)

※本記事はPR記事です

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