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ドコモショップ、700店削減の裏で転売ヤーと結託か…過酷なMPN獲得ノルマで苦渋

文=A4studio、協力=石川温/ITジャーナリスト
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NTTドコモのTwitterアカウントより

 今年度初めに全国約2300店舗あったドコモショップのうち、3割程度に相当する約700店舗を2025年度までに閉店する方針を固めているというNTTドコモ。そんなドコモショップをめぐるきな臭い噂が飛び交っている。NTTドコモ本部から課せられる厳しいノルマにドコモショップが苦しみ、転売ヤーを利用していることを「週刊文春」(文藝春秋)がたびたび報じているのだ。

 NTTの島田明社長が昨年11月の決算発表会見で、転売ヤーによる転売が最大の問題と指摘していたにもかかわらず、身内であるドコモショップが店舗ぐるみで転売ヤーと手を組んでいるとしたら、非常にイビツな構造といえる。なぜ、このような事態が起きてしまっているのか。ITジャーナリストの石川温氏に聞いた。

MNPの獲得件数が店舗成績の大きな指標

 まず、なぜ転売ヤーはスマートフォンに目を付けているのか。

「基本的にスマホの転売自体は違法ではありませんし、購入したスマホをネットで売ることや、業者に買い取ってもらうこと自体は罪に問われません。ですから、割引などの適用で比較的安価にスマホを手に入れられる場合があるので、転売ヤーは割安で手に入れたスマホをそのまま買い取り業者へ流したり、マーケット上で売ったりして利益を得ています。今の時代、スマホ端末自体が高額ですし、iPhoneなどの最新機種であれば海外で定価よりも高値で売れることもあるでしょうから、購入額よりも高い値段で転売して利ざやを得やすい構造があるのです」(石川氏)

 ただし、携帯電話不正利用防止法により譲渡などが規制されており、NTTドコモをはじめとした携帯電話会社と契約済の通話可能なSIMカード入りスマホを転売する行為は違法となる。ノルマ達成率を上げるためにドコモショップが裏で転売ヤーと結託しているとしたら、抜け道があるということなのだろう。

「現在ドコモショップでは、インターネットでの手続きが普及して来店客が減少していることから、ドコモ本体は店舗を閉鎖することでコスト削減を進めています。約2300店舗あったうちの約700店舗を減らすとのことですが、閉店する店舗を選定していくうえで指標となるのは各ドコモショップの成績です。当然、成績の良い店舗は残し、成績が悪い店舗が閉店候補となる。そして、ユーザーが現在の番号のまま他社に乗り換えられるMNP(携帯電話番号ポータビリティ)の獲得件数が、成績のなかで大きな指標となっているのです」(同)

 閉店を免れるためドコモショップはMNPの契約獲得に躍起になっているということのようだ。

ドコモショップ間の生き残り競争が苛烈

「ですが、近年のスマホは最新モデルが登場しても機能面で大幅に進化していることはあまりなく、ユーザーが買い替えるまでの年月も長くなってきているという状況です。そしてなにより、一昔前と違ってどの携帯会社も料金プランはさほど違いがありませんし、ドコモだけが扱っている特別なスマホがあるわけでもありません。わざわざ他社に乗り換えようと考えている人自体少ないのが現状なのです。MNPの獲得件数が成績の指標になっているものの、現在はMNPでの流動性はそこまでなく、ノルマ達成はかなり厳しいはず。そのため苦肉の策として転売ヤーを動員するという事態が起こったのではないでしょうか。

 ドコモショップはNTTドコモが直営しておらず、代理店企業が運営しているという店舗がほとんどで、さらにその代理店企業が複数のドコモショップを抱えているというケースは多いんです。ですから1つの店舗が単独で行っているというよりも、同じ代理店企業の複数のドコモショップぐるみで転売ヤーを利用していた可能性は十分にありえますね」(同)

 それだけドコモショップ間の生き残り競争が苛烈ということなのかもしれない。NTTドコモ本部は今後どういった対応を取ると考えられるのだろうか。

「現在、ドコモショップの成績を評価するうえでの大きな指標はMNPの獲得件数となっていますが、その指標自体を変えていくことが本来の理想です。しかし、MNPの獲得件数を指標にしたことにより、結果としてNTTドコモの業績が上向いているのは事実なので、指標を変えるといったことはしないのではないでしょうか。そうなると、店舗を経営する代理店企業はこれまでと同様ノルマに苦しむ状況が続くと考えられますし、やはりNTTドコモ本部はコスト削減のために、ノルマ達成率の成績が悪い店舗を閉店させていくのではないでしょうか」(同)

 前出「文春」記事によれば、「転売ヤーと結託しているドコモショップと、不正はせずに真面目に運営しているドコモショップでは、MNP契約件数が雲泥の差になっているという。もちろんNTTドコモは否定しているが、本部はドコモショップが転売ヤーを動員していることに気付いていながら、あえて黙認しているという疑惑の目も向けられている。真相解明が待たれている状況だ。

(文=A4studio、協力=石川温/ITジャーナリスト)

石川温/ITジャーナリスト

石川温/ITジャーナリスト

スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(MdN)がある。
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Twitter:@iskw226

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