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Amazonで購入した商品が届かない事態が多発…「配送不可」率が5割との声も

文=Business Journal編集部、協力=刈屋大輔/物流ジャーナリスト
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千葉県市川市のAmazonフルフィルメントセンター(「Wikipedia」より)

 3月末頃からSNS上で、Amazonで購入した商品が届かないと嘆く声が多発している。「昨日到着予定の商品がまだ届かない」「注文した商品が届いていないのに商品ページが消えてる」「今年に入ってから13回の注文の内7回が不達で、現在5連続不達中(記録更新中)だ」など、遅配だけでなく、そもそも商品を手にすることすらできない事態も少なくないようだ。

 配達が遅れている場合や、なんらかの理由で配達できなくなった場合には、Amazonの注文履歴や配送状況確認ページを確認すると「配送が遅れています」「配送不可」など文言が表示される。

 物流がパンク状態にあるということは数年前からいわれ続けているが、なぜ今、商品が届かない事態が多発しているのだろうか。青山ロジスティクス総合研究所代表取締役で物流ジャーナリストの刈屋大輔氏は、「時期的な要因が大きい」と分析する。

「今年に限ったことではなく、年末年始や年度末・年度初めなどは物流の繁忙期です。そもそも物流業界は慢性的に人手不足なので、繁忙期には配達が遅れがちになります」(刈屋氏)

 物流業界の人手不足が叫ばれて久しいが、改善される兆しはないのだろうか。

「トラックドライバーは現時点でも人手不足なのに、高齢化が進み離職が進んでいます。そのうえ、若年層から新たなドライバーの成り手は少なく、ドライバーは減る一方です。さらに、『2024年問題』が待ち受けており、今後も増える見込みは低いでしょう」(同)

「2024年問題」とは、働き方改革関連法の施行などによって起こると考えられている問題で、時間外労働の上限が年間960時間に引き下げられ、さらなる物流の停滞が懸念されているのだ。

「トラックドライバーは今でも収入が多くないですが、時間外労働の上限が引き下げられることで、ますます“稼げない業種”になってしまいます。そのため、さらにドライバーの成り手は減ると思います」(同)

 物流業界全体で人手不足な状況にもかかわらず、Amazonの配送トラブルが多く聞こえてくるのはなぜなのか。

「ヨドバシドットコムや楽天市場などのネット通販の事情は不明ですが、各社とも大変だと思います。特にAmazonは圧倒的にボリュームが大きいので、表面化しやすいのではないでしょうか」(同)

 SNS上の声を細かく見てみると、「発送されているのに届かない」「一度『本日到着予定』となったのに(一段階前の)『発送済』に戻った」「近くの配送所まで届いたはずなのに『配達不能』になった」といった声がある。Amazonでは配送不可になった理由が説明されない場合が多いが、どのような理由が考えられるか。

「Amazonは注文を受けると迅速に発送するので、(在庫がある場合には)翌日くらいには地域の配送センターまで届きますが、最後の配達員が足りず、さばききれないのだと思います。したがって、数日待てば届く可能性もありますが、急ぎの商品などはキャンセルして他の通販サイトなどで購入したほうがいいかもしれません」(同)

 パンク状態の物流に対し、消費者側ができることはあるだろうか。

「注文の時点で、特に急がない場合は『お急ぎ便』ではなく『通常配送』にして配達時間に余裕を持たせたり、確実に受け取れる時間を指定して再配達を減らすことで、ドライバーの負担軽減につながります。また、Amazonなどの販売業者側も『1週間以内』「2週間以内」など配達期間を長くする選択肢を増やし、繁忙期をずらした配達ができるようにすれば、物流量を平準化させることができるのではないかと思います」(同)

 ネット販売の市場は拡大の一途だが、配達する人手は圧倒的に足りていない。限られた物流のキャパシティーを最大限活用するために、販売側、消費者側も協力して解決策を模索していかなければならない時期に来ているのだろう。
(文=Business Journal編集部、協力=刈屋大輔/物流ジャーナリスト)

刈屋大輔/物流ジャーナリスト

刈屋大輔/物流ジャーナリスト

1973年生まれ。青山学院大学大学院経営学研究科博士前期課程修了(経営学修士)。物流専門紙記者、物流月刊誌副編集長などを経て、独立。物流・ロジスティクス分野を中心に、幅広い分野で取材・執筆活動を行う。

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