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片田珠美「精神科女医のたわごと」

広末涼子、マニック・ディフェンスによる軽躁状態の可能性…医師の診察が必要か

文=片田珠美/精神科医
広末涼子、マニック・ディフェンスによる軽躁状態の可能性…医師の診察が必要かの画像1
hirosue_staffのInstagramアカウントより

 不倫騒動の渦中にある女優の広末涼子さんの夫、キャンドル・ジュン氏が6月18日、緊急会見を開いた。誠実そうな方で、真摯に対応しておられるという印象を受けた。精神科医として気になったのは、ジュン氏が次のように述べた点である。

「過度なプレッシャーがかかったりだとか、不条理なことに出くわしたりとかそうなってしまうと、濃い化粧をして派手な格好をして、眠ることができず、常に何かを書いていなければ心が収まらず、誰かに連絡をしたり、豹変(ひょうへん)してしまうんです」

 このように広末さんが急変してしまうことは結婚してから何度かあったらしい。「2年に1回ぐらい、さまざまな仕事やいろんなことで彼女の心の安定が崩れる」ともジュン氏は話しているが、これはマニック・ディフェンス ( manic defense )によるのではないかと精神科医としての長年の臨床経験から疑わずにはいられない。

 マニック・ディフェンスは防衛機制の1つであり、「躁的防衛」と訳される。困難な事態に直面したとき、気分を高揚させて元気を出し、活動性を高めることによって乗り越えようとするメカニズムを指す。

 たとえば、愛する人を亡くすという大きな喪失体験に直面し、打ちのめされているにもかかわらず、通夜や葬式の場で「大丈夫、大丈夫」と妙に元気にふるまい、活発に動き回る人がいる。精神医学では「葬式躁病」と呼ばれており、こういう人はその後ドーンと落ち込むことが多い。

 あるいは、多額の借金を抱えてにっちもさっちもいかなくなっているにもかかわらず、借金を減らすための現実的な対処はせず、「金くらい何とかなる」と豪語し、毎晩飲み歩いてカードで支払う人も、マニック・ディフェンスに陥っていると考えられる。

 広末さんが濃い化粧をして派手な格好をするのも、気分を高揚させて難局を乗り切ろうとするためではないか。また、常に何かを書いていたり、誰かに連絡をしたりするのも、活動性が亢進し、過活動の状態になっているからで、マニック・ディフェンスの可能性が高い。

 もっとも、マニック・ディフェンスは、必ずしも病的とはいえない。というのも、これは誰でも多かれ少なかれ用いる防衛手段だからだ。困難な事態、とくに大切な対象を失う喪失体験に直面すると、とりあえず目の前の現実から目をそむけながら、自分が受けたダメージをできるだけ和らげようとするのが人間であり、われわれは知らず知らずのうちにこの防衛手段に頼りながら身過ぎ世過ぎをしている。

 ただ、広末さんの場合、マニック・ディフェンスの結果、軽躁状態 ( hypomanic state)になることがあるように見える。軽躁状態は文字通り軽い躁状態であり、本人も周囲もそれほど困らない。むしろ、本人としては調子がよく、仕事や家事がどんどんはかどる状態なので、本人も周囲も、軽躁状態を病気の状態と認識することはまずない。

 しかし、ジュン氏が「急変」「豹変」と表現した状態になることが周期的にあったようなので、これは要注意だと思う。まるで人が変わったように見える状態になることがあったわけだし、しかも不眠を伴っていたからだ。

 厄介なことに、軽躁状態になると、抑制が取れて脱抑制に陥りやすい。この状態では、日頃は抑圧していた欲望が頭をもたげてきて、性的逸脱行為や浪費などの問題行動を起こしやすくなる。そのせいで周囲に迷惑をかけたり、社会的制裁を受けたりすることもある。

 広末さんが「急変」もしくは「豹変」して、濃い化粧と派手な格好をして夜出歩くようになり、不倫に走ったのも、実はマニック・ディフェンスの結果、軽躁状態になり、脱抑制が起きてしまったからではないか。

 もともと、自身の欲望に忠実な傾向が広末さんに認められたことは、彼女が書いた恋文を分析した際に指摘したように否定しがたい。しかし、ジュン氏が会見で話したことが事実とすれば、2年に1回くらい軽躁状態になることがあり、それが元来の傾向に拍車をかけた可能性が高い。その結果、暴走してしまい、若い頃から周囲の目に“奇行”と映るような振る舞いを繰り返していたのではないか。

 私は広末さんを直接診察したわけではないので、軽躁状態になることがあるからといって、双極性障害と診断するわけにはいかない。だが、少なくとも不眠の症状に悩むことがあったのなら、精神科医の診察を受けて睡眠薬を処方してもらうべきだったと思う。

 今回の騒動で、広末さんは、所属事務所から無期限謹慎の処分を下され、CMをすべて削除され、映画やドラマの仕事を失うという喪失体験に直面した。そのうえ、手紙や交換日記まで流出し、週刊誌に掲載されるという「不条理」な目にも遭っている。このような状況で、またマニック・ディフェンスが出てきて、気分が高揚し、眠れない状態になる可能性も十分考えられる。もし、そういう状態なら、精神科医の診察を受け、必要と診断されれば、睡眠薬や気分安定薬を処方してもらうことを老婆心ながらお勧めする。

(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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