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都市総合力で東京が世界2位…「ナイトライフ」が1位、100億円級の経済戦略

2026.01.11 2026.01.10 23:00 経済

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●この記事のポイント
・森記念財団の世界都市総合力ランキングで、東京がニューヨークを抜き世界2位に浮上。その原動力は「ナイトライフ世界1位」という意外な評価だった。東京の夜は、なぜ世界最強になったのか。
・深夜の爆買い、スナック体験、高度化するナイトエンタメ。東京の夜は「観る」から「体験する」観光へ進化し、1人2〜3万円の高単価消費を生む成長市場になっている。
・26億円の噴水構想や都庁プロジェクションマッピングは浪費ではない。東京は夜間経済を成長エンジンに、100億円規模の波及効果を狙う都市経営へ舵を切っている。

 2025年、世界の都市勢力図に激震が走った。一般財団法人森記念財団都市戦略研究所が発表した「世界の都市総合力ランキング(GPCI)2025」において、東京がニューヨークを抜き、ロンドンに次ぐ世界2位に浮上したのだ。

 GPCIは、経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスという6分野・約70指標で都市の競争力を測る、世界でも評価の高いランキングである。そのなかで今回、東京の躍進を決定づけたのが、「文化・交流」分野、とりわけナイトライフの評価で世界1位を獲得した点だった。

 かつて「夜が早い街」と評されてきた東京は、なぜ今、世界で最も魅力的な「夜の都市」となったのか。その実態と、背後で動く巨大な経済戦略を読み解く。

●目次

ニューヨークを抜き去った「東京の夜」の正体

 GPCIにおけるナイトライフ評価は、単なる飲食店の数ではない。深夜の文化施設、エンターテインメント、治安、回遊性、外国人の利用しやすさなど、都市が夜間にどれだけ“機能しているか”が総合的に評価される。

 観光政策アナリストの湯浅郁夫氏は、こう指摘する。

「東京の強みは、治安の高さと24時間稼働する都市機能が両立している点です。世界的に見ても、この2つを同時に満たす都市は極めて少ない」

 欧米の大都市では、深夜帯の外出には一定のリスクが伴う。一方、東京では深夜でも公共交通や徒歩移動が成立し、外国人旅行者にとって心理的ハードルが低い。この「安心して夜を消費できる環境」こそが、東京の最大の競争優位となっている。

インバウンドが熱狂する「東京の夜」の実態

爆買いから「スナック体験」へ

 訪日外国人の夜の過ごし方は、ここ数年で大きく変わった。

① 深夜消費の定着
 中国・東南アジア圏の観光客を中心に、21時以降の深夜帯にドン・キホーテなどを巡る「夜の買い物」は完全に定着。小売業界では、深夜帯売上の比率がコロナ前水準を上回る店舗も珍しくない。

② 「スナック」という文化資産
 特に注目されているのが、スナックや路地裏居酒屋を巡るナイトツアーだ。新宿や上野で「スナックはしごツアー」を運営する事業者によれば、1人2万〜3万円という高単価にもかかわらず、予約は数カ月先まで埋まるという。

 湯浅氏はこう分析する。

「東京の夜は、単なる消費ではなく**“関係性を体験する観光”**へ進化しています。これは他都市が簡単に模倣できない価値です」

東京都の勝負手

「2050東京戦略」とナイトタイムエコノミー

 この潮流を一過性のブームで終わらせないため、東京都も動き出した。
2025年に策定された「2050東京戦略」では、ナイトタイムエコノミーの戦略的強化が明確に位置づけられている。

都庁プロジェクションマッピング
 ・累計来場者:100万人超
 ・経済効果:約18億円(都試算)

世界最大級「ODAIBAファウンテン」
 ・整備費:約26億円
 ・年間経済波及効果:約98億円(推計)

 東京都関係者は次のように語る。

「狙いは観光名所ではなく、夜の滞在時間を延ばす“装置”をつくることです」

周辺産業に広がる100億円規模の波及効果

 ナイトライフの活性化は、飲食や観光だけでなく、タクシー、警備、清掃、物流といった都市インフラ産業をも潤す。

 仮に100億円の夜間消費が発生した場合、
 ・交通:15億円
 ・警備:8億円
 ・清掃:5億円
 ・物流:25億円
といった波及効果が見込まれる。

東京は「夜」から再起動する

 一方で、騒音、ゴミ、労働負荷といった課題も顕在化する。だが専門家は、ここにもビジネスチャンスがあると見る。

「東京が“夜の課題解決モデル”を確立できれば、その技術自体が輸出産業になる」(湯浅氏)

 東京が世界2位に躍進した理由は、経済指標や高層ビルではない。安全で、多様で、消費が生まれる“夜の都市機能”そのものだ。

 26億円の噴水は浪費ではない。東京が「24時間稼働する世界最高効率の都市」へ進化するための、戦略投資なのである。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)