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“天下分け目”の自販機争奪戦!サントリー、衝撃的ウルトラCで制す!

文=福井晋/フリーライター
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 清涼飲料業界の「天下分け目の戦い」を制したのは、やはりサントリー食品インターナショナル(以下、サントリー)だった。

 同社は5月25日、日本たばこ産業(JT)の飲料自販機事業を約1500億円で買収すると発表した。これによりサントリーは、JT子会社のジャパンビバレッジホールディングス(JB)が保有する飲料自販機17万台を手中に収めることになる。サントリーの飲料自販機49万1000台と合わせると66万1000台となり、飲料自販機83万台を有する日本コカ・コーラグループ(以下、日本コカ)に肉薄する。

 同日記者会見したサントリーの鳥井信宏社長は「今回の買収を通じて総合飲料サービスの提供体制を整え、2020年度に売上高2兆円(14年12月期実績は1兆2573億円)を目指す」と語り、言外に清涼飲料業界首位の日本コカ追撃に入るとの考えを示した。買収が予定通り完了すればJBの売上高1204億円(14年12月期)を上積みできるので、サントリーの売上高は単純合算で1兆3777億円となり、業界は首位日本コカ、2位サントリーの「2強多弱」体制が鮮明になる。

JBの自販機が清涼飲料メーカーの盛衰を決する

 飲料自販機は現在、全国で約250万台稼働している。清涼飲料販売チャネルはスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、駅ナカ売店など多岐にわたるが、その中で飲料自販機は清涼飲料販売数量の約30%を占める主要チャネルの1つ。定価は他の販売チャネルでは実質的にないも同然だが、飲料自販機は定価販売できる唯一のチャネル。清涼飲料メーカーの重要な収益源でもある。

 このため、清涼飲料メーカーは自販機稼働シェア拡大と新規設置場所をめぐり熾烈な競争をこれまで繰り広げてきた。しかし、自販機設置場所はあらかた開拓し尽くし、さらに東日本大震災以降の電気料金高止まりの影響で自販機設置を取りやめるオーナーが相次ぐなど、全国の自販機稼働台数はここ数年減少傾向にある。

 したがって、清涼飲料メーカーが自販機稼働シェアを拡大しようとすれば、メーカー同士の相乗り提携をするか、地域の中小零細自販機ベンダー(販売者)を落ち穂拾いのように買収するしか方法がなくなっている。そんな中、突如としてJTが2月、清涼飲料事業撤退を発表した。

 JBの飲料自販機17万台は、稼働台数ではキリンビバレッジの21万台に次ぐ全国6位の規模。しかもJBの自販機は、定期的な利用者がいるオフィスビル内、商業施設内など好立地での設置が多い。業界関係者全員が目の色を変えるのも無理はなかった。JTの清涼飲料事業撤退発表は「天下分け目の戦い」の号砲になった。

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