食品表示であれば、行政の担当者が見て「これは明らかに調味がしてあるので、加工食品の表示をしてください」と判断すればいい。しかし、税金の場合は各税務署で見解が異なると、大変なことになる。そのため、全国で統一された基準を作らなければならない。
そして、基準作りは非常にやっかいだ。例えば「塩一粒でも加工食品」とした場合、その一粒がどこに振られているかもわからないため、見た目では判断できない。検査をしても、正確な判断は無理だろう。
では、「100グラム当たり○グラムの塩」とするのはどうだろうか。これも、かなり難しい。生の魚や肉には、塩の元になるナトリウムが含まれている。
検査しても、それが後から加えられた塩分なのか、魚や肉が本来持っていた塩分なのか判別するのは難しい。また、生鮮食品には個体差がある。それも考慮しなければならないが、誤差の範囲を広げれば広げるほど、もともとの塩分なのか、後から加えられたものなのか、判別が難しくなる。
そもそも、検査しなければ税率を決められないような法律を作ること自体が問題だろう。
たれ付けも同じだ。少しでもたれがかかっていれば税率が下がるのであれば、肉の隅に少しだけたれをかければいいことになる。これも、「小たれ牛肉」などが登場するかもしれない。
調味ひとつをとってみても、生鮮食品の軽減税率にはこれだけの問題がある。食品表示だけの問題であれば、売る側も買う側も行政も、それほど目くじらを立てることではないが、税金がからんでくるとそうはいかない。消費者庁や財務省の役人たちは、そういった現実をどこまで理解しているのだろうか。
「食品」と「非食品」で分けることも実質的に不可能
では、一番簡単そうな「食品」と「非食品」という分け方はどうだろうか。この区別については昔から議論されているため、行政は対策を考えていると思われるが、やはりやっかいな問題は多い。
それは、食品と非食品を一緒にした抱き合わせ商品をどうするかということだ。わかりやすい例が、「靴下に菓子を入れたものは、食品か非食品か」というものである。
クリスマスの時期になると、菓子が靴下型の入れ物に入った商品が売られているが、これは食品になるだろう。一般的に、「その靴下は単なる容器にすぎない」という認識があるからだ。