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その内容をみると、「職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1000万円以上)を有する労働者」が、高度の専門知識を必要とする業務に従事する場合に、健康を確保する措置を講じたうえで、本人の同意や社内の委員会の決議などの手続きをとれば、労働時間、休日、深夜の割り増し賃金等の(労働者保護の)規定を適用除外にする」としている。条件付きとはいえ、まさに休日や夜間の勤務手当などの切り捨て法案といわざるを得ない内容なのだ。
同法案は、高度プロフェッショナル制度について、年収が平均の「3倍の額を相当程度上回る水準」としており、当面の適用対象者は1万人程度にとどまるとされる。このため、一般の労働者には無縁の話であり、一部のエリート労働者のみが対象の取るに足らない問題とみなされがちだ。
しかし、同法案が閣議決定された翌週にあたる4月6日の記者会見で、日本経団連の榊原定征会長が高度プロフェッショナル制度に言及し、「最終的には年収要件の緩和や職種を広げる方向で考えていかなければいけない」と述べていることは見逃せない。経団連は、年収400万円以上の労働者を対象にしたいとしているからだ。ひとたび同法案が可決されれば、安倍政権は同法の改正を繰り返し、経団連の要望実現に動く可能性がある。
わが国を主導する政府の国会における立法活動を評するのに、「調子に乗って」とか「欲張って」といった言葉を使うのは、失礼であり不遜なことかもしれない。
しかし、今回の会期大幅延長を受けて、政府・与党が成立を視野に仕切り直しを始めた法案の名称をみていると、悪乗りし過ぎの感が拭えないのも事実である。
(文=町田徹/経済ジャーナリスト)
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