日綿實業(現双日)出身の宮内氏はオリエント・リース(現オリックス)を設立したメンバーの1人であり、1980年から14年6月まで34年間トップの座にあった。創立50周年を迎えた昨年6月に取締役を退任、シニア・チェアマンに就いた。
「カリスマ経営者の退任」と大々的に報じられたが、「宮内氏は現在も執行役であり、経営の第一線から身を引いたわけではない」(オリックス関係者)。同社は委員会設置会社で社外取締役を中心とする指名・監査・報酬の各委員会と執行役・取締役会を置いており、報酬委員会が取締役と執行役の報酬額を決定し、開示する。在任中に功績が特にあった人に対して功労金を支給することになっており、今回初めて宮内氏に支給された。対象者や額は、社外取締役が6人中5人を占める報酬委員会が規定に基づき決めた。
東京商工リサーチの調査によれば、役員退職慰労金相当額の歴代ランキングで宮内氏は首位に立った。
【役員退職慰労金相当額ランキング】
※以下、順位:社名、氏名、役員報酬(うち退職慰労金相当額)、決算期
1:オリックス、宮内義彦、54億7000万円(44億6900万円)、15年3月期
2:カシオ計算機、樫尾俊雄、13億3300万円(13億1900万円)、12年3月期
3:キョウデン、橋本浩、12億9200万円(12億6800万円)、14年3月期
4:カシオ計算機、樫尾和雄、12億3300万円(11億3800万円)、14年3月期
5:キヤノン、御手洗冨士夫 11億500万円(8億4100万円)、13年12月期
(15年6月25日現在)
パナソニック
このランキングに登場しない人物がいる。パナソニックの、故・松下正治前名誉会長だ。松下氏は創業者の故・松下幸之助氏の娘婿で、同社前身の松下電器産業2代目社長を務めた。12年6月に退任するまで、65年間にわたり取締役を務め、12年7月に死去した。