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丸の内と三菱地所の没落 次々と街を蘇らせるあの企業、8エリア同時再開発で東京を変形?

文=福井晋/フリーライター
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 もっとも、週明けの8日には三菱地所が時価総額を抜き返したので、三井不動産の首位は「三日天下」で終わったが、この首位逆転劇は「これからも三井不動産がしばしば首位につき、やがて不動の首位固めをする可能性を示した」と分析する証券アナリストが少なくない。というのは、三菱地所が「丸の内の大家」に依存するビジネスモデルの限界を露呈し、三井不動産がバランスを安定させた3事業の育成で着実に地力を強め、時価総額も昨年から三菱地所に肉薄しているからだ。

 丸の内エリアに事業資源を集中させている三菱地所は、同エリアで自ら進める都市再開発事業に伴う既存オフィスビルの閉鎖が続いており、再開発済みの新築オフィスビルも既存ビル閉鎖による減収減益の穴を埋め切れていない。このため、15年3月期の純利益は733億円で三井不動産のそれの73%しかなかった。

 さらに東京の日本橋、虎ノ門、六本木などで大規模オフィスビルの開業が相次いでおり、「エリア間の競争が激化している。今や丸の内はオフィスビルのステータスエリアではなくなった。当然、賃料も他エリアより高い『丸の内相場』がなくなった」(証券アナリスト)といわれる。
 
 この伸び代のない三菱地所と対照的なのが、三井不動産の都市再開発事業の伸び代だ。

「日本橋再生計画」

 かつて商業の中心地だった日本橋は、1980年代以降急速に地位が低下した。99年の東急百貨店日本橋店の閉店はその象徴といわれたが、そんな中、三井不動産は「日本橋再生計画」を立ち上げ、日本橋と室町の再開発に取り組んだ。

 その結果、三井不動産が東急百貨店日本橋店跡地に再開発した商業施設「コレド日本橋」が04年3月に開業。以降、同社が再開発した「日本橋三井タワー」「コレド室町」などが次々と開業した。特に14年3月に開業した「コレド室町2」はシネマコンプレックスの「TOHOシネマズ日本橋」と深夜営業の飲食店が入居した影響もあり、「今では土日平日を問わずファミリー層や若者が街にあふれ、かつての日本橋の賑わいを取り戻しつつある」(同社関係者)エリアになっている。

 さらに20年の東京五輪開催に焦点を合わせた8エリアの同時都市再開発計画も進めている。これは三井不動産が「日本橋再生計画第2ステージ」に位置付けているプロジェクトで、オフィスビルの延べ床面積は約200万平方メートル、投資総額は約9000億円とみられている。
 
 プロジェクトが完了すれば日本橋、銀座、八重洲の3カ所を点で結ぶのではなく、面で覆う再開発となる。いわゆる「三角州形成」だ。不動産シンクタンク関係者は「同時再開発により3つの街が一体感のある街並みに生まれ変わる。そうなれば街のブランド力が高まり来街者も増える。オフィスビルの付加価値も高まる。好不況にかかわらず、三井不動産の収益力が増す仕組みができる」と分析する。同社に対する市場評価が高まるゆえんでもある。

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