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5万人分の血液不足、10代の献血率は約6%…血液提供者の減少、打開策なくさらに深刻化?

文=小川裕夫/フリーランスライター
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 また、日本赤十字社の苦しい財政事情もある。

 献血後は健康状態を考慮して水分、塩分、糖分の補給が推奨されており、献血ルームでは献血後のジュースや菓子類の無料提供が行われている。しかし、一部ではアイスクリームが「ハーゲンダッツ」から「レディーボーデン」に切り替えられるなど、細かい部分で経費が削減されているのだ。

 献血は善意で支えられている面が強く、こうした経費削減が献血者減少の直接的な原因とは断定しづらいが、多少なりとも献血の動機を薄くしていることは間違いないだろう。

 さらに、献血業界を危機に陥らせているのが、今般の国際化だ。

 日本赤十字社では、献血者の問診で海外滞在歴の有無を聞いている。例えば、中南米諸国に通算4週間以上滞在した経験があると、献血を断られる場合がある。ほかにも、海外から帰国して4週間以内の場合は献血自体ができない。

 この条件に照らし合わせると、例えば14年のFIFAワールドカップブラジル大会や、16年のリオデジャネイロオリンピックに足を運んで滞在期間が通算4週間を超えてしまい、献血できないという人も出てくるだろう。

 中南米の滞在を厳しくチェックしているのは、現地で多く見られるシャーガス病の感染を予防するためだ。厚労省は「中南米に通算4週間以上滞在しても、献血できないわけではなく、それらに該当する人たちの血液は血しょう分画製剤に使用することになっています」と説明するが、献血の可否は現場の判断に委ねられている。問診票に「中南米に4週間滞在」と書かれていたら、現場判断で献血を断るケースもあるだろう。

啓発活動は空振りの恐れも

 牛海綿状脳症(狂牛病)が話題になった06~07年は、献血者数が激減して年間500万人を割り込んだ。これは、現場判断で献血を断ったり、逆に「献血に行くと狂牛病に感染する」といった間違った情報が拡散したことが原因といわれている。

 また、昨年、国内でデング熱が発生したことは記憶に新しい。デング熱騒動の最中、東京の献血ルームでは「この1カ月間に(感染源とされた)代々木公園に行った人」の献血を断ることがあった。

 近年の国際化によって、一昔前まで日本では考えられなかった病気が海外から持ち込まれるケースも増えている。世界的に見ると、昨年は西アフリカでエボラ出血熱が流行し、今年は韓国で中東呼吸器症候群(MERS)が発生した。

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