なぜ花王は、梅雨前線の動きに合わせてエリア別広告展開?マイクロモーメントの時代
短時間に頻繁に
スマートフォン(スマホ)の普及が進みました。2015年3月の統計では、日本の一般世帯における携帯電話普及率は94.4%に達していますが、そのうちスマホの普及率は60.6%です(内閣府・消費動向調査)。また、NHK放送文化研究所の今年の調査では、30代男女の8割がスマホを保有しています。一方、こうしたスマホの急速な普及が消費者にどのような変化をもたらしたのか、またマーケターはどうしたらいいのかという点については、まだあまり論じられていません。
インターネット利用の解析ツール「Google Analytics」によれば、私たちがスマホにアクセスするウェブセッション数は過去1年で20%増加し、一回当たりの滞在時間は逆に18%短くなっています。ウェブページにアクセスしたユーザのうちで何割が商品購入や資料請求など、最終的な行動に至ったのかを示す指標を「コンバージョン率」といいますが、モバイルによるコンバージョン率は29%増加しました。
つまり、私たちはモバイルからネットへより頻繁にアクセスするようになった一方、アクセス一回当たりの利用時間は短時間化し、さらに買い物などをすることも当たり前になりました。こうした事態は、マーケティングにどのような新しい課題をもたらしているのでしょうか。
細切れのアクセス
「マイクロモーメント」は、今年4月からグーグルが提案しているコンセプトです。これは消費者がスマホを用いて細切れの時間で情報を入手し、商品をチェックする行動を指します。同社の調べによれば、82%のスマホユーザーが店頭で商品購入を決定する際にスマホで商品をチェックしています。62%のスマホユーザーが、予期していなかった問題に出くわした場合、それを解決するためにスマホを利用し、アクションを取る傾向があります。
例えば、家電量販店の店頭で商品の値段をスマホでチェックして、他店や通販サイトの価格を調べたという経験、あるいはレストランで食事しながら、相手が言ったことについて、すぐその場で調べたという経験を持つ人は多いでしょう。
テレビが触発する
ただし、スマホだけでマイクロモーメントが成立するわけではありません。グーグルが12年に発表しているメディアのマルチタスキング行動に関するレポートでは、81%の米国の消費者が毎日スマホとテレビを同時に使っています。また、テレビはあらゆるデバイスの中で最大の情報「触媒」、つまり情報検索を触発するデバイスとして働いています。例えば、テレビのCMを見てスマホで検索する人は17%に上ります。