ビジネスジャーナル > 企業ニュース > イオン“革命的PB”トップバリュ  > 3ページ目
NEW
大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

イオン“革命的PB”トップバリュ、超高品質を実現する驚愕の秘密!10万人モニター調査

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

 しかしながら、代表者は単に店長およびバイヤーという限られた担当者ではなく、各店舗で働くパート従業員も含まれています。こうしたパート従業員は各店舗が所在する地域に暮らす主婦である場合が多く、顧客のニーズを反映した商品の選択が行われることになります。

「パート従業員が最初のお客さまであり、この人たちに気に入ってもらえなければ、どうにもならない」(同)

 さらに、既存のトップバリュ商品に対する意見集約にとどまらず、例えば、「真崎のわかめ」のようにパート従業員から地元の名産品に関する情報を収集し、商品化されるケースも出てきているようです。

 また、トップバリュ展示会は商品に関する情報収集という範疇を超え、自らの意見が商品に反映されることにより、パート従業員のイオンへの帰属意識や日ごろの業務へのモチベーションも大きく高めることでしょう。

どのようにプレミアムPBを企画するのか

 トップバリュの商品づくりにおける重要なポイントは、消費者の声を生かす取り組みに表れています。まず発売前に、味、機能、価格、容量等に関して消費者による評価が行われます。こうした調査で高く評価されたものが実際に発売され、さらに発売後にも、味、機能、価格、パッケージデザイン、容器の大きさや使い勝手等に関して消費者による評価が行われます。その後、課題に対する改善が行われ、リニューアル製品の発売というサイクルになっています。こうした消費者の評価から商品カルテが作成されます。ちなみに、調査に協力しているモニターの数は10万人にも及ぶようです。

 筆者はこれまで数多くの消費財メーカーにインタビューを行ってきましたが、実際にこれほどの規模でマーケティングリサーチが実施されている例は、あまり見受けられませんでした。そもそも小売業者は毎日、消費者と顔を合わせており、さらにこうしたリサーチの体制が構築されているとなると、消費者ニーズの把握という点において、他の多くの消費財メーカーを圧倒していることでしょう。

 また、開発や生産に関する技術力がないという弱みは愚直に消費者志向を貫くという強みに変化しているのかもしれません。逆に、技術力という強みがあるメーカーでは、自社のこだわりが消費者ニーズと離反するケースもあるでしょう。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

イオン“革命的PB”トップバリュ、超高品質を実現する驚愕の秘密!10万人モニター調査のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!