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麻薬で逮捕のトヨタ元役員、釈放の背景に米大使館の介入疑惑 波紋呼ぶ可能性も

文=編集部
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麻薬で逮捕のトヨタ元役員、釈放の背景に米大使館の介入疑惑 波紋呼ぶ可能性もの画像1駐日米国大使館(「Wikipedia」より/Rs1421)
 麻薬密輸容疑で逮捕・勾留されていたトヨタ自動車のジュリー・ハンプ元常務役員が先月、起訴猶予処分となって釈放されたが、この裏にはキャロライン・ケネディ駐日米大使の関与があったと、ブルームバーグなど複数の米メディアが伝えている。日本の検察内部からは「司法介入を許したのではないか」との批判が沸き上がっている。

 米メディア報道や関係者の証言を総合すると、ケネディ大使は米大使館を通じて日本の司法当局に接触し、「ハンプ氏の自発的な役職辞任」を条件に「寛大な処分」を求めたとされる。警視庁や検察は立件を前提に身柄拘束し取り調べを進めていたが、結局はハンプ氏の辞任を考慮して「起訴猶予」というかたちで決着させたという。釈放された当日、ハンプ氏は人目を避けるように、成田空港から弁護士同伴で帰国したもよう。

 医師の処方が必要な鎮痛成分を含む錠剤を国際郵便で輸入したハンプ氏は、警視庁の取り調べに対し、「麻薬を密輸したという認識はない」と犯意を否定していた。だが、輸入された錠剤は「ネックレス」と記された小箱の下に隠されており、警視庁は「明らかに隠蔽の意図が認められた。取り締まりの目を逃れようとしたのは間違いない」(警視庁幹部)とみていた。

 これに対し、日本における女性の活躍を広く訴えていたケネディ大使は、ハンプ氏が逮捕された直後からこの事件に強い関心を示し、事実関係の把握を大使館員に指示していた。そのうえで、ハンプ氏の弁護士には米大使館と関係が深い人物を起用するなど、大使館を挙げて全面支援に乗り出していたとされる。この間の経緯に詳しい関係者が証言する。

「ケネディ大使は本国の国務省や司法省などとも協議を重ね、ハンプ氏の自発的な辞任による事態の早期収拾を模索しました。ハンプ氏は当初、『役職の辞任は罪を認めることになってしまう』と難色を示したといいますが、米大使館から依頼された弁護士が彼女を説得し、6月30日付での常務役員の辞任をトヨタに申し入れることになったのです」

 トヨタはハンプ氏の辞任申し入れを容認した。

「トヨタはハンプ氏の逮捕翌日に豊田章男社長が会見した際には英文の社長コメントを用意していましたが、辞任受け入れの発表の際は日本語のみでした。海外で大々的に報道されるのを防ごうという意図が明白でした」(同)

 東京地検はハンプ氏を起訴猶予処分として釈放するにあたり、「犯行に悪質性は認められなかった。役員の辞任という社会的な制裁を受けたことも考慮した」と説明した。当然、検察内部からは「納得できない。一般の日本人容疑者でも同じ対応をしたか」「米大使館の圧力に屈したのと同じだ。検察の死だ」との批判の声が上がっており、今回の検察の対応が波紋を呼ぶ可能性もある。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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