USJの業績は絶好調だ。2015年3月期決算売上高は前期比44%増の1385億円、営業利益が61%増の390億円でともに過去最高だった。昨年7月に450億円を投じてオープンした「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」が集客の起爆剤となり、2014年の入場者数は1270万人を記録した。一時800万人を割った入場者数は開業初年度以来、13年ぶりに過去最高になった。入場者のうち訪日外国人は100万人弱だ。ハリポタ効果で最終利益は3.5倍の222億円。01年の開業から5年続けて最終損益で赤字を出すなど苦しんできたが、儲かる企業に変身した。
USJは07年に東証マザーズに上場したが、08年のリーマン・ショックの影響もあり入場者数は大きく落ち込んだ。筆頭株主だった米ゴールドマン・サックス系の投資ファンドがTOB(株式公開買い付け)を実施し、09年に上場廃止になった。上場廃止後はファンド主導で再建に取り組み、ゲームやイベントなどに力を入れて集客力を高めた。空前のヒットとなったハリー・ポッターに続いて、「ジュラシック・パーク・ザ・ライド」に100億円を投じてジェットコースター型アトラクションを建設中だ。
業績好調を受け、ファンドは再上場に伴う株式の売り出しで、これまでの投資資金を回収して多額な売却益を見込む。
沖縄進出とカジノ解禁
株価を引き上げるために欠かせないのが成長戦略だ。USJは沖縄での新しいテーマパークに、成長のエンジン役を担わせる考えだ。映画と連動した大阪のUSJとは違い、自然を生かしたテーマパークにする方針とのことだ。
USJが計画しているのは、新しいテーマパークと併せてカジノを含む統合型リゾート(IR)を整備することだ。カジノを併設したテーマパークは、すでにシンガポールのUSJで実績がある。
USJのグレン・ガンペル社長は、カジノ推進派の安倍晋三首相と人脈を築いていった。昨年4月、ハリー・ポッターの新エリア発表の記念式典に安倍首相やキャロライン・ケネディ駐日米大使が出席。ガンベル社長は安倍首相との親密ぶりを見せつけた。政府はUSJが沖縄で計画している新しいテーマパークを支援するため、地域を限定して規制を緩和する国家戦略特区を活用する方向で検討に入った。昨年3月、沖縄県を含む6地区を国家戦略特区に選んだが、沖縄県だけが具体的な計画が進んでいなかった。