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世界初! 客席にダイブするヘヴィメタルアイドル“アリス十番”インタビュー

過酷なアイドルビジネスは初期費用1000万!アリス十番に見る新しいアイドル経営

文=Leoneko
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世界初! 客席にダイブするアイドル アリス十番(写真/徳山喜行)

 ここ数年AKB48の台頭をはじめとしてアイドルブームとうたわれているが、毎年星の数ほどデビューしてはいくものの、すぐに消えていくのが芸能界。どのグループもほかとの差別化を図ろうと、あの手この手でアピールしているが、そんな中で、一歩間違えれば乱暴と思われるスタイルで知名度を上げつつあるグループがいる。――アリス十番だ。

 彼女たちはアイドルとは真逆にあると思われる、ヘヴィメタルのスタイルをコンセプトに組み込み、ライブ中は激しいヘドバン(※ヘッドバンギング=リズムに合わせて首を激しく振ること)を繰り返すだけでなく、あろうことか世界初客席にダイブする。しかも、アイドルの一番のセールスポイントであろうその素顔をジェイソンを髣髴とさせるホッケーマスクをかぶり隠してしまっているのだ!

 いくら差別化が必要だとはいえ少々やりすぎ感も? 奇をてらっただけの戦略で本当に成功できるのか? ことの真意を知るべくBusiness Journal編集部ではアリス十番の所属事務所であるアリスプロジェクト代表(せいじ氏)に取材を敢行。――メンバー2人(立花あんなちゃん、森カノンちゃん)にも同席してもらいインタビューをしたところ、この戦略の真意や、アイドル経営の現実が垣間見えてきた……。

アリスプロジェクト代表せいじ氏アリスプロジェクト代表せいじ氏

――なぜ日本の音楽シーンではほかのジャンルと比べても極端に市場が狭いヘヴィメタルをコンセプトに取り入れられたのですか?

せいじ氏(以下、せいじ) 市場が大きいスタイルを取り入れても、ありふれているので世間に刺さらないでしょう? そこで思い浮かんだのがメタルです。ぼくも彼女たちも好きなジャンルなのですぐに順応できると思いました。

――そんなに若いのにメタル好きなんですか? 言わされてませんか?

立花あんな(以下、あんな) スリップノット(グラミー賞の受賞経験もあるアメリカのヘヴィメタルバンド)が大好きなんですよ。

森カノン(以下、カノン) 攻撃的で刺激的なライヴをするし、個性的な仮面を着けてて憧れます。

――アリス十番も仮面を着ることが多いのですが、アイドルが顔を隠す売り出し方に抵抗はなかったのですか?

せいじ  いまの時代、これだけアイドルが無数にいるなかで、ただかわいい服装して立っているだけじゃどこの誰か認識されません。そこで展開した施策のひとつがマスクを着けた集団として売りだすことでした。そうすれば、“彼女たちの素顔が見たい”っていう感情も煽れますしね。仮面の狙いは顔を隠すことで個のアイデンディティーを消すことなんですよ。そうすることで、今度は仮面を着けた9人の群れでのアイデンティティーが強まるんですよ。

――なるほど。では例えば小学生グラドルや中学生歌姫とかアイドル界では年少のであることがセールスポイントのひとつとなっていますが、アリスプロジェクトのメンバーは平均年齢が20歳を超えていて、セオリーからするとちょっと高めです。その流れに逆らっていることも戦略なんですか?

せいじ 確かにうちは20代半ば事務所に入る子もいるくらいだから年齢的には遅いスタートの子が多いですね。実際低年齢アイドルは需要もあるし即ビジネスにつながります。業界の風潮においても売れていないインディーズアイドルレベルだと20歳を超えているというだけでアウトなんです。

 でもこの子たちだからこそできるパフォーマンスってあるんですよ。一度彼女たちのライヴを見てもらえれば、年齢がどうだとか、そういった風潮を打破できると信じています。ライヴパフォーマンスについてはかなり厳しく指導していますよ。ぼくは日本で一番口うるさいかもしれませんね。アリス十番で芸能界の年齢の壁を壊すことは目標でもあるんです。

Leoneko

Leoneko

 ビジネスジャーナルのプロデューサー。猫好き。メタル好き。プロレス好き。ERG好き。

Twitter:@leo_tekona

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