『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系列)などでおなじみの世代・トレンド評論家、牛窪恵氏。本連載では、8月23日に『男女1100人の「キズナ系親孝行、始めました。」』(河出書房新社)も出版した牛窪氏が毎回、賢くも楽しく生きる女子たちの“生態”を通じて、彼女たちが新しいマーケットやブームをつくりだしていく現実と可能性について探る。日本の将来は、女ゴコロしだい!?
「三平(さんぺい)女子」という言葉をご存じだろうか?
かつてバブルの時代には「三高(高学歴、高年収、高身長)」こそが、女性が結婚相手に求める典型的な条件だった。ところが、イマドキの20代女性は、未来の夫に「平凡な見た目」「平均的な年収」「平穏な性格」の「三平」を求める。
実はこの言葉を命名したのは、私だ。昨夏、20代~アラサーの女性にたびたびインタビューさせていただく中で浮かんだ言葉で、その後、毎日新聞やフジテレビの人気番組『Mr.サンデー』などで取材していただくと、少しずつ認知され始めた。
さらに今年に入ると、婚活業界ではオーネットやノッツェが結婚に関して「三平女子」がどれぐらいに及ぶか、という調査を行った。
その結果、「自分が三平女子だと思う」と答えた女性は、オーネットで56.3%、ノッツェでは72.8%に及ぶなど、圧倒的多数。この結果には正直、言い出しっぺの私も驚いた。
もっとも、両調査では「女性が男性に希望する年収は682.6万円!」(ノッツェ)、「理想の結婚相手、1位は向井理さん」(オーネット)という結果も。
ネット上では「それって三平かよ!」といった男子からの突っ込みもあったが、これは聞き方の問題が大きい。いくら三平であっても、「理想の~」「希望の~」と聞かれれば「そりゃ、いいほうがいい!」と思うのが女のさが。
だが、私たちが複数の雑誌で、未来の夫の「理想年収」と「妥協年収」に分けて聞くと、妥協年収はおおむね「年収400万円前後」となる。
「三平」が求められる理由
なぜイマドキの若い女性たちは「三平」を求めるのだろう。端的にいえば、彼女たちは私のようなバブル女と違い、極めてリアリストで賢いから。結婚にいたずらに夢を見ないし、無謀な高望みもしない。気の合う「フツメン(普通の男性。注:褒め言葉)」と、安全・安心なフツーの結婚生活を送りたい。そのほうがリスクが低いことを知っているからだ。
その流れで、20~30代の三平女子が「結婚相手にいい!」と言い出したのが、安心•安全な公務員男性と、AKB48 などのアイドルオタクに代表される男性たち。
私が「ゆるオタ君」と呼ぶ男性で、その人気の秘密は以前、私のインタビュー記事『AKB男が大モテ?「ゆるオタ君」が人気の婚活市場で幸せゲット!』でもご紹介いただいた。総じて女性への「リスペクト」魂があり、妻の趣味にも寛容で、風俗やギャンブルにあまり関心がなく、仕事人間でもない。家事・育児にも一定以上の関心がある。
さらにいま、未婚女性たちは、話題の「オタ婚活」市場にも熱い視線を送っているのだが……それに関しては、次頁以降で詳しくお話ししよう。