実は、オタクはもはやニッチ層ではない。
しかもそれは、男性に限ったことではない。以前もご紹介したが、ある調査で「自分で自分をオタクだと思う」「自分ではオタクだと思っていないが、そう言われる」と答えた15~39歳男女が、1万人のうち38.1%と、約4割(11年 電通「オタクがラブなもの研究所」調査)。
意外に多い「隠れオタ」女子
調査結果に“男女”とあるとおり、女性の間でも昨今、BL(ボーイズラブ)やコスプレ人気を背景に、ライトな「ゆるオタ女子」が急増しているのだ。
ただし取材してみて分かったのだが、女性には「隠れオタ」が圧倒的に多い。「恥ずかしい」「腐女子と思われたくない」などの理由から、趣味を隠している。裏を返せば、三平女子の中にも、少なからず「ゆるオタ女子」が含まれているわけだ。
だからこそ、オタ婚活の場にも、三平女子が「参加したい」と訪れる。それに伴って、市場人気はうなぎのぼり。
先の「オタ恋」や結婚相談所のファーストコンタクトが運営する「ヲタ恋」、元衆議院議員のたるい良和さんが代表を務める「Im single」のオタ婚活パーティ、そしてテレビや雑誌でも報道される機会が多い「アエルラ」などが着々と参加者を増やし、カップリングにも成功している。
みずからも「オタ(ゆるオタ)」を自認する、ナゲット(「アエルラ」のサイトを運営)の代表取締役、長谷川剛さんによると、「最初から同じオタク同士が集まると分かっていれば、気兼ねなく趣味の話ができて、心を開ける」という。
同社は11年6月のサービス開始以来、ほぼ毎週末の割合で婚活パーティを開催。今年8月からは、東京だけでなく関西にも開催拠点を広げた。参加基準は、「20歳以上の未婚男女で、アニメやマンガ、ゲーム、アイドル、鉄道など、なんらかの分野のオタクであること」。
人気の回は、男女10人ずつほどの枠に2倍以上の応募があるそうだ。カップル成立は1回につき平均4~5組程度と、なかなかの成功率と言えるだろう。
もちろん、課題もある。私が過去に取材したオタクの祭典「コミケ(コミックマーケット)」や秋葉原の「ガンダムカフェ」で見聞きした印象だが、オタクの男女は趣味に対して極めてピュア。それを“商業主義”の道具にされるのを嫌がる。
「15~39歳男女の4割を占める市場」と聞いて、魅力を感じるのは当然だが、たとえビジネスチャンスが眠っていても、彼らの思いを理解しないまま「儲かりそうだから」と市場に参入するのは難しい。
逆に、成功している企業は、得てして「ゆるオタ(オタ)男女」がそのビジネス構築に関わっている。三平女子も含め、ゆるオタ君を狙う人たちはまず、彼らの気持ちを理解することから始めてみてはどうだろう?