「鳥貴族」といえば、全商品が税込327円均一の “味良し・コスパ良し”で、老若男女問わずファンが多いやきとり居酒屋チェーン。そんな鳥貴族だが、近年では孤独に鳥貴族を楽しむ“一人”鳥貴族なるものがはやっているという。
なんでも鳥貴族には、一人用に作られた半個室席を設けた店舗があり、そこで夜な夜な一人で酒盛りをする人が増えているとのこと。各席には電源コンセントが用意され、無料Wi-Fiも使用できるのでスマホやタブレットでネット動画をみることも可能(店舗による)。周りを気にせず、自分一人だけで料理と酒を嗜むことができると評判のようだ。ネット上でも「一人鳥貴族いいよね~」「一人鳥貴族最強」などの声が多く見受けられ、その満足度がかなり高いことが窺える。
そこで、今回は鳥貴族未経験の20代前半の筆者が、実際に“一人”鳥貴族を体験。半個室席がある店舗に行き、本当に一人で楽しめるのか、満足度は高いのか、忖度なしでレビューしていく。なお、今回はお店の雰囲気や店員さんの接客を比較するために2店舗をはしごした。
商品は出てくるのが早い キャベツ盛、ホルモンねぎ盛ポン酢など
最初に向かうのは、新宿三丁目駅(東京都新宿区)からすぐ近くの場所にある「鳥貴族 新宿3丁目店」。筆者が到着したのは18時30分頃だったが、店内はすでにほぼ満席状態だ。
席が空いているかどうか不安になったが、店員さんには快く迎え入れられ、噂の半個室席に案内された。半個室席は想像よりもかなり広く開放的な印象を受けたが、背中側が遮られており、周囲を気にしなくてもいいような作りになっていた。
注文はタッチパネル式なので、自分の好きなタイミングで注文が可能。看板メニューである焼鳥類をはじめ、逸品料理やご飯もの、デザートまでさまざまな料理を楽しめる。さっそく、いくつかのメニューを注文していくことにしよう。
注文してからほんの2、3分ぐらいで「ザ・プレミアム・モルツ」が到着。予想よりも届くのが早かったことと、店員さんの笑顔のおかげで気分よく受け取ることができた。生ビールはキンキンに冷えており、日々の疲れた体を癒やしてくれるような飲み心地である。
「キャベツ盛」は、ボウルいっぱいにキャベツが盛られており、全体にドレッシングがかけられていた。実食してみると、キャベツのシャキシャキとした食感と少し酸味のあるドレッシングが絶妙にマッチしており、ビールがぐびぐび進む味であった。おかわりも無料のため、団体で来店したときには頼んでみるといいかもしれない。
「ホルモンねぎ盛ポン酢」は、砂肝やハツなどのホルモンが入った小鉢。ホルモンは噛めば噛むほど旨みが溢れてくるが、ポン酢の爽やかな風味がプラスされるため、しつこさはまったく感じない。数量限定のため、注文する際はお早めに。
夢中で食べ進めていると、「もも貴族焼(たれ)」が届いた。たれの香ばしい匂いが漂い、もも肉一つひとつも大きいので食欲をそそられる。こちらもいただいてみると、ほどよく焼かれたもも肉に甘じょっぱいたれが美味しさの相乗効果をもたらしており、「これぞ焼鳥」と語りたくなるほどの食べ応えが感じられた。
店の雰囲気は活気で溢れており、店員さんがお客さん一人ひとりに真摯に接客している姿が印象的であった。周囲には話が盛り上がっている席もあったが、半個室で遮られているため、まったく気にすることなく自分の世界に浸ることができた。
鳥貴族こだわりの人気メニューは絶品……トリキの唐揚、とり釜飯など
続いて、向かうのが調布駅(東京都調布市)から徒歩1分にも満たないところにある「鳥貴族 調布東口店」。到着したときの時間は20時30分頃だったので店内はかなり混み合っており、半個室席はギリギリ一つ残っているという状況であった。
調布東口店の店員さんも元気よい対応で、すぐに半個室席まで案内してくれた。こちらの半個室席は、新宿3丁目店に比べると少し狭い印象。だがこのほうが個室感はあるし、より一人飲みに適しているのかもしれない。
ネット上では、鳥貴族の半個室席は“コックピットのよう”だと言われていたが、この席はまさにそう見える。実際に座ってみても、自分一人しかその場にいないような錯覚を感じたため、思う存分、鳥貴族を楽しめそうである。
さっそく最初に頼んでいておいた期間限定メニューの「鳥取県産 梨チューハイ」が到着。梨の爽やかな風味と甘さをジュース感覚で楽しめる一杯なので、お酒が苦手な方でも美味しくいただけるかもしれない。店内は満員状態であったが、こちらの店舗でも1杯目を即座に用意してくれたおかげで、気持ちよくスタートを切ることができた。
お酒を飲みながら気長に待っていると注文してから12分ぐらいで「つくね塩」が到着。ふっくらと焼きあがったつくねは、柔らかく肉の旨味も十分に感じる最高の焼き加減であった。塩もちょうどよく効いているため、つくね本来の美味しさを堪能できる。
続く「トリキの唐揚」は、焼鳥の肉よりも少し大きい肉が6個入っている、ボリューム満点のメニュー。淡路島産の玉ねぎ使用の特製パウダーに漬け込まれた本品は、カリカリに揚げられており、塩気も強いことからフライドチキンに近い食感。それでいて、使用されているのは鶏むね肉のため、油っぽさはなくさっぱりといただけるのも魅力のひとつである。
最後に到着したのは、シメの一品として人気のある「とり釜飯」。注文してから提供まで30分ほどかかるメニューだが、税込327円で炊き立ての釜飯が食べられるという高コスパ具合には刮目すべきだろう。鶏ガラスープで炊きあげられた米は鶏の旨味が隅々まで広がっており、味付けもさっぱりとしていたため焼鳥や揚げ物を食べたあとでもしつこさを感じることなく食べ切ることができた。
今回2店舗でかかった総額は税込2616円。ちゃんと満足いくだけ飲み食いして、「それでこの金額?」と声に出したくなるほどの安さで正直かなり驚いた。
そして特筆すべきは、やはり半個室席の居心地の良さだろう。どちらの店舗も賑わってはいたが半個室席に入っていれば、ある程度、外界からシャットアウトされている気分になれたため、問題なく一人飲みを満喫できる。店員さんの接客態度も素晴らしく、提供スピード、提供の際の丁寧さなど文句はないレベルだった。
噂通り“一人”鳥貴族は高クオリティー、大満足な飲みであった。誰にも邪魔されず美味しい料理とお酒を楽しみたい方は、ぜひ試してみてほしい。
文・取材=文月/A4studio
※情報は2021年12月15日現在のものです。