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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

認知症を起こす危険のある薬、実はこんなに多い…薬の過剰投与で想定外の副作用

文=新見正則/医学博士、医師
認知症を起こす危険のある薬、実はこんなに多い…薬の過剰投与で想定外の副作用の画像1「Thinkstock」より

 今日はお薬のお話です。“極論君”は「お薬は大好きで、ちょっとの異常でも薬は飲むし、医師に勧められればどんどん飲む。むしろこちらから薬を飲みたいメッセージを送る」というタイプです。

 一方で“非常識君”は「薬は極力飲まない。医師に勧められても最初は断る。それでも強く勧められるときは、その理由を丹念に聞いて納得したら飲んで、でも不要になれば即座に内服をやめる」というタイプです。

“常識君”の解説です。

「まず、日本で薬が過剰投与されていることは事実です。ひとつの理由が日本は皆保険に入っていて、医師から処方される薬剤は最低でも7割が補助され、実質の負担額は3割以下です。薬剤代が安いので、どちらでもよければ、ともかくもらっておこうという思いが働きます。また、日本ではかかりつけ医制度がまだ普及していません。つまり総合的に判断する主治医がなかなかいません。そうすると専門分野の主治医の集まりとなり、『船頭多くして船山に登る』ということになるのです。お互いが専門医の処方には口出しをしません。つまり多数の専門医にかかると、必然的に薬剤が過剰投与となります」

 ここで非常識君は極論君に「薬をたくさん飲んで副作用などの不安はないのですか?」 と質問します。極論君は「薬剤師の先生が薬の副作用を説明してくれるが、あまり真剣に考えたことはない」という答えです。

 非常識君がコメントします。

「胃の薬も、心臓の薬も、こころの薬も、糖尿病の薬も、体中を回ります。薬は数が増えるとお互いに相互作用が働き、力が増したり、効果が減弱したり、まったく新しい副作用が生じることもあります。そして認知症を引き起こす可能性がある薬は、少なくありません。『今日の治療薬』という病院やクリニックに常備されている書籍には、認知症を招く可能性のある薬物として、

・抗てんかん薬
・抗パーキンソン病薬
・向精神病薬、抗うつ薬、睡眠薬など
・消化性潰瘍治療薬
・抗悪性腫瘍薬
・ステロイド、鎮痛薬、ジギタリス製剤、抗結核薬、β遮断薬、経口糖尿病薬、インスリン製剤

などが記載されています。こんなにも多くの薬が認知症を起こす可能性があるのです。そんなことを知った上で、薬の内服はすべきだと思います」

新見正則/医師、新見正則医院院長

新見正則/医師、新見正則医院院長

外科専門医 /消化器病専門医 /消化器外科専門医 /消化器内視鏡専門医
慶應義塾大学医学部卒業後、外科医として研鑽を積む。大学病院や関連病院で診療にあたるほか、英・オックスフォード大学にて博士課程を修了。
新見正則医院 公式サイト

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