誰にも看取られることなく住居で一人、死を迎える孤独死。その数は年間約3万人にのぼるともいわれており、社会問題となっている。
そんな「孤独死」にまつわる噂に「東京では、数日間にわたり水道を使わない契約者がいると、孤独死などの可能性を心配して水道局が生存確認の電話をかけてくる」というものがある。果たしてこの噂は本当なのだろうか。東京都水道局に取材した。
調査開始までの期間が実は長い
「水を数日間使用しない契約者に、水道局から電話することはありません。というのも、水道の検針は2カ月に1度ですので、数日使っていないくらいでは契約者様がどういう状況なのかを判断することができないからです」(東京都水道局・サービス推進課)
どうやら噂はあくまで噂だったようだが、では2カ月の間、まったく水道が使われなかった場合はどうなのか。
「前回の検針から今回の検針の期間に使用された水量が0立方メートルだったり、普段20立方メートル以上の水量を使っている場合、その4割以上使用水量が減っているお客様に関しては、連絡を取ることはあります。ただし、それは孤独死を視野に入れてではなく、すでに転居している可能性があるため、契約状況はこのままでいいのか、という確認の連絡になります」(同)
なぜ2カ月で20立方メートル以上という基準があるのかというと、使用水量が20立方メートル以下の契約者は単身世帯が多くなるため、これらを含めると対象件数が多くなりすぎてしまうからだという。孤独死を防止するなら単身世帯こそ対象とすべきということを考えると、やはり水道局は、孤独死については配慮していないといえる。
「対象者に電話をして応答がなかったとしても、そこから水道局の審査が始まり、請求を整理した後に、それでも連絡が取れない場合にやっと公的調査や管理会社や大家さんに所在を確認することになるので、かなりの期間を要することになります。なので、水を使っていないからといって、水道局や委託会社の担当者が孤独死を発見するケースは聞いたことがありません。もちろん、検針の際に不審な点があれば対応はしますが、もし孤独死を発見するのであれば、検針が1カ月に1度の電気やガスの担当者のほうが可能性は高いでしょう」(同)