「年金破たん」が言われなくなった理由…受給金額15%カットでも大丈夫
主要メディアで年金破たん特集が減ったのには理由がある
「年金破たん」という言葉が、一時期はずいぶんメディアで踊ったものです。団塊世代、つまり戦後すぐに産まれたベビーブーム世代が引退して年金受け取り年齢に入り始めた頃、年金記録問題が取り上げられたことで、こうした悪いイメージに拍車がかかりました。あるいは「国の年金運用●兆円の損」という記事を見て、不安を抱いた人もいるでしょう。多くの人が、「国の年金制度は破たんするのだろう」「将来はどうせ年金はもらえないのだろう」と思っているのではないでしょうか。
ところが最近、雑誌やテレビで年金破たんの特集を見かけなくなったと思いませんか。電車に乗っても、週刊誌の吊り広告に年金破たんの大文字は踊らないですし、テレビでも年金破たんの話題は減っているように感じます。
実は、年金破たんはほとんどあり得ない、ということが明らかになってしまい、まともな学者やジャーナリストは恥ずかしくて言えなくなってしまったからなのです。
2014年6月に、国は年金財政の検証結果ということで徹底的なシミュレーションと情報開示を行いました。内容はホームページでも公開されていますが、これを読めば、そう簡単に破たんはしない、完全に支払い不能になる恐れがない、ということが示されています。
むしろ「経済成長の実現」「少子化対策の成果」「女性と高齢者の働ける社会づくり」が実現すると、むしろ年金制度の安定性が確保できることがはっきりと示されました。これは、もはや年金官僚だけがどうこうできるものではなく、国として取り組む課題そのものです。実は余計な保養施設を建てるなどの無駄づかいは、破たんにはほとんど影響はなく(もちろん、ないほうがいいに決まっているが)、国がやるべきことをしっかりやれば、年金制度の心配はないということです。
メディアというのは「年金破たんとあのとき言ったけど、嘘でした」という特集はやりませんから、なんとなく私たちには悪いイメージだけが残ってしまっています。しかし、いまだに年金破たんの話をする場合、トンデモ理論で語られていると疑ってかかったほうがいいでしょう。株価がずっと下がり続ければ、●年後には年金積立金がゼロになるなど、あり得ません(計画的に取り崩す予定はある)。