「年金破たん」が言われなくなった理由…受給金額15%カットでも大丈夫
年金運用も同様で、もはや心配のいらないレベルです。なんとなくマイナス運用ばかり印象に残りますが、実はトータルでは62.9兆円のプラスです(2001年度以降、17年度第2四半期までの累積)。3カ月ごとに情報開示をするので、一時的に株価が下がると「ほらマイナスだ」とニュースになりますが、全体では手堅くお金を増やし、年金破たんリスクとはほとんど無縁の状態を維持できています。これも「年金運用、実は上手に増やす」というニュースはほとんどないので、悪いイメージだけが残っていることになるのです。
日本の年金制度ほど潰れにくい制度はない
実は、日本の年金制度ほど潰れにくい制度はありません。というのも、日本には他国にないいくつかの特徴があるからです。
・国としての対外債務がない
世界では、外国に対して借金(対外債務)をしている国と、外国に対してお金を貸している(対外債権)国がありますが、世界で海外にお金を貸しているほうが多い国は数カ国しかありません。日本はそのひとつです。
ギリシャが財政破たんした際に大きな問題となったのは対外債務の返済で、このため国は年金制度の支給額を無理矢理減らして対応せざるを得ませんでした。いきなり受給開始年齢を上げたり、いきなり給付額を下げることになります。
日本の場合、年金制度の改正があっても、10年以上の経過期間を置くことができるくらい余裕があります。この点だけでも、日本と諸外国のどちらの年金制度にリスクが大きいかは明らかです。
・年金積立金がある
日本の年金積立金は170兆円ほどですが(2017年3月末)、これだけの規模で年金積立金を有している国は日本とアメリカくらいです。日本より人口の多い国はたくさんあっても、日本より積立金を多く持っている国はアメリカしかないわけです。
イギリスやドイツなどは、年金支払いに必要な金額の数カ月分程度分しか積立金を用意していません。「現役時代から集めた保険料をそのまま高齢者の年金に回す」というかたちになっています。実はそういう国のほうが多いのです。
日本の場合、団塊世代が一斉に引退年齢を迎え、今後数十年間にわたり年金を受け取る期間のみ、負担が急激に増加し苦しくなることが予見されていたため、この期間の保険料が急増しないようあらかじめ保険料を多く徴収したのが、この積立金です。むしろ積立金を上手に崩すことで、若い世代の負担は減ります。
年金積立金は、団塊世代がまだ現役時代のうちに多めに保険料を確保しておき、彼らの年金給付に回しているともいえます。これを上手に活用することで、年金破たんや保険料高騰を回避することができているのです。