10月28日にTwitterで投稿された、ある一般人のツイートが話題となっている。
「お昼ケンタッキー行ったらあまりにもガリガリのチキンが出てきたので『ケンタッキー 小さくなった』で検索しようとしたら読み上げを押してしまい、iPhoneが店内で『ケンタッキー 小さくなった(早口)』と言い放ってやばかった」(原文ママ)
チキンの大きさがガリガリ……つまり相当小さくなっているといった、なんとも気になるこの投稿は、11月20日までに2.7万件以上のいいねを獲得。Twitterでは、
「自分だけではなくて安心しました…」
「あれ? たまたまかと思ったけどやっぱりそうですよね」
「鶏もダイエットをしているのだろうか」
など、ウィットに富んだリプライや、共感の声が相次いでいる。
そこで今回、筆者が首都圏のケンタッキーフライドチキンを5店舗めぐり、ケンタッキーの代表メニュー「オリジナルチキン」(税込・1ピース250円、2020年11月18日現在の価格)を実際に購入してみて大きさを検証。1店舗につき2ピース購入し、店舗ごとに大きさを見比べながら、本当に小さくガリガリとしたサイズになってしまっているのか、この目で確かめてみた。
3店舗分・6ピースのチキンを検証――大きな差はない
まず、1店舗につき2ピース購入したものを、3店舗分写真に撮って大きさを比較してみることに。
1店舗目に訪れたのは町田金井店。さっそくオリジナルチキンを2ピース購入して袋を開けてみると……。2つとも若干小さい気もしたが、ガリガリというほどでもなく、値段相応の満足感を得られるだろうと感じた。
2店舗目に訪れたのは新百合ヶ丘店。1店舗目の町田金井店のチキンと比較してみると、左のチキンのほうが際立って大きく、サイズに若干のバラつきを感じるものの、2つとも肉厚な感じもする。左のチキンが大きい分、右のチキンが極端に小さく感じられるが、それでもガリガリだと感じるような小ささではなく、さほど気にならないレベルだ。
続いては向ヶ丘遊園店で購入。向ケ丘遊園店で購入したものは、2ピースとも同程度の大きさ。いずれも肉厚でボリュームがあり、非常に満足感の得られそうなチキンだった。
ここまで3店舗分のチキンを取りあげてみたが、店舗ごとに若干サイズに違いはあるものの、袋を持った際の重量感はどの店舗もさほど変わらない印象。何より、話題のツイートで問題視されていた“ガリガリ”レベルの小さいチキンは見当たらない。
2店舗分・4ピースのチキンを検証――ガリガリに遭遇!
引き続き、2店舗回ってそのサイズを確かめてみよう。
4店舗目は成城のケンタッキーで購入……ここでとうとう噂の“ガリガリチキン”を引き当てることになる。購入して袋を開けてみると、2ピースのうちの1つが今までにない極小サイズ。
「これがガリガリのチキンか……」と思わず言葉が漏れてしまった筆者だが、それはさておき、驚いた点はそれだけではない。その分もう一つのチキンのサイズ感がとんでもなく大きいのである。この2つが同じ金額と考えると、冒頭のツイート主や賛同した方々の気持ちも理解できるというものだ。
なんと最後の5店舗目に訪れた経堂店のチキンも同様であった。左のチキンのサイズが極端に小さく、もう一方は極端に大きい。ガリガリなチキンの隣に並べているからそう感じるのでは? と考える人も多いだろう。しかし、実際に手に持って重さを確かめてみても、前述した成城店のチキンと同様、大きいほうのチキンの重量はかなりズッシリしている。
この2店舗のチキンの大きさをみるからに、まず、冒頭でも触れた“ガリガリ”な見た目のチキンの正体は、おそらく左のチキンのような商品だと思われる。冒頭のツイート主が何ピース購入したかは定かではないが、例えば1ピースだけ購入して、今回の2店舗で出てきた“ガリガリチキン”だったとしたら、損をした気分になっても仕方ないだろう。
10ピースを並べると最少と最大のチキンの差は一目瞭然
さらに大きさの違いを検証するため、購入した5店舗分・計10ピースを並べてみることに。
上段左側に一番小さいチキン、下段右側に一番大きいチキンという具合に、サイズ順に並べてみると写真のとおりになった。大きさにバラつきがあるのがわかるだろう。
特に、一番大きいものと小さいものを並べると、サイズの差は一目瞭然。最大の右側のチキンは、最小の左側のチキンの3倍近くあるように感じられる。実際、手に持った重量感も段違いだ。
最終検証――骨を取り除き、肉のみの量で比べてみた
だがオリジナルチキンには骨も入っているため、一番大きく見えるチキンも、実は骨ばかりで、小さいチキンと肉の量はさほど変わらないという可能性もあるだろう。
そこで最後に肉のみの量を比較するべく、一番大きいチキンと一番小さいチキンから骨を取り除き、肉の部位のみで比べてみることに。すると、骨を取り除いた肉だけの量でも、圧倒的な違いがあることが明らかになった。
小さいチキンからほぐした左側の肉は筆者の手に収まるサイズ。大きいチキンからほぐした右側の肉は手には収まらないほどのボリューム感だ。先述した通り、1ピース購入してみて左のチキンがでてきたら、思わず「ガリガリだ……」と言いたくなる気持ちもわかるだろう。
とはいえ、今回“ガリガリチキン”を引き当てた2店舗では、2ピースのうちもう一方はボリューム感のある大きなチキンだった。そのため、2ピース合わせた重量感でいえば、どの店舗もさほど違いはないようにも思える。もしかすると、店員がチキンを選ぶ際、片方のチキンが小さいときは、もう一方は大きめのチキンにするといった、店員内の暗黙のルールがあるのかもしれない。
とはいえ、ケンタッキー側にそういった配慮があるとしても、1ピース250円という金額で販売しているのは事実。2ピース購入して1つはガリガリだったがもう1つはボリューミーならば問題ない――ということでもないはずだ。その2ピースを家族や友達で1ピースずつ食べるといったケースもあり、その場合、不公平感が生まれるのは容易に想像できる。
すべて同じサイズや重量に統一するというのは不可能だろうが、今回の検証で引き当てた一番小さいサイズと一番大きいサイズほどの差があるのでは、やはり納得できない部分がある。肉量の少ないガリガリなチキンは、1ピース150円程度にした「ミニ・オリジナルチキン」として販売するなど、ケンタッキーにはそういったフレキシブルな対応を検討してもらいたいものである。
(取材・文=OIK志野/A4studio)