ドラッグストア業界7位・ココカラファインをめぐる、同5位・マツモトキヨシホールディングス(以下、マツキヨ)と同6位・スギホールディングス(HD)による争奪戦は、マツキヨが勝利した。
ココカラとマツキヨは経営統合に向けて協議に入り、2020年1月末までに結論を出す。両社は経営統合準備委員会を設置し、独占的に協議を進める。「対等の精神にのっとり、経営統合の検討・協議を進める」とした。まとまれば売上高1兆円規模のメガドラッグが誕生する。
マツキヨの勝因は、利益率の高いPB(プライベートブランド)商品の開発力だった。関西圏で都市型店を多く持つココカラと関東圏で同様のビジネスを展開するマツキヨは補完関係にある。
スギHDは調剤薬局が売りだが、ココカラも調剤薬局併設店は一定数あり、どちらをパートナーに選ぶかを決めるココカラの特別委員会のメンバーの心を動かすことができなかったようだ。調剤薬局は交渉の切り札とはならなかった。
ドラッグストア市場は7兆円超。百貨店(約6兆円)を上回り、10兆円超のコンビニエンスストアに迫る勢いで、店舗数は2万店と2000年から倍増した。既存店の売り上げの鈍化を新規出店で補う状態が続いており、成長の踊り場を迎えている。今後、衰退期に入るとの厳しい予測もあり、規模の拡大が急務だ。
メガドラッグの誕生は、大手同士の大合併の口火となる可能性がある。
イオンにはドラッグストア連合「ハピコム」がある。首位の座を明け渡すことになるツルハホールディングスの筆頭株主はイオン(出資比率は12.8%)。ツルハHDが出資するクスリのアオキホールディングス(ツルハHDの出資比率は5.1%)もハピコムのメンバーだ。
ココカラとマツキヨの統合で3位に後退する業界2位のウェルシアホールディングスにはイオンが50.5%出資している。イオン直系のウェルシアとツルハが合併を決断すれば、売り上げは1兆5000億円。店舗数も4000店弱となり、マツキヨ・ココカラ連合の3008店を凌駕する。
今回、袖にされたスギHDも動くとみられる。杉浦広一会長は「今後、方向性の合うところがあれば、(提携を)がんばりたい」と述べ、経営統合をテコに新たなパートナーづくりを目指す姿勢を鮮明にした。スギHDは中部圏に強いので、他地域の有力チェーンに照準を合わせることになるだろう。
九州が地盤で業界3位のコスモス薬品は首都圏を攻略中。コスモス薬品が再編の台風の目になるとの指摘もある。