群雄割拠のドラッグストア業界
首都圏が地盤のサンドラッグ(19年3月期の売上高5880億円)はローコスト経営で知られる。西日本を中心にディスカウントストアを展開しているのが魅力だ。カワチ薬品(同2649億円)は栃木からスタートし、北関東で多店舗化。東北に巨大店舗を持っている。クリエイトSDホールディングス(19年5月期2862億円)は神奈川県で集中出店しており、東京都内にも店舗がある。新業態店の「クレモ」は衣料品の比率の高い新店を出している。
アインホールディングス(19年4月期売上高2755億円)は調剤薬局で最大手。セブン&アイ・ホールディングスと資本・業務提携(セブンの出資比率は19年4月末時点で7.7%)。北海道・札幌市に本社があり北海道が発祥だ。セブンがどう動くかでアインHDの業界での立ち位置が変わってくる。
日本調剤(19年3月期2456億円)は、調剤薬局で業界2位。関東甲信越を中心に598店(19年3月末)ある。社長の三津原博氏が29.2%の株式を保有。専務の三津原庸介氏が20.7%を持っており、三津原一族の持ち株は50%を超えている。
クオールホールディングス(19年3月期1447億円)は医療用医薬品卸2位のメディパルホールディングスが筆頭株主(19.4%を保有、19年3月末)。第一三共が3.3%出資している。
福井、岐阜、石川、愛知の4県でドラッグストアチェーン、ゲンキーを運営しているGenky DrugStores(19年6月期の売上高1038億円)は、22年6月までの3年間で230店舗の新規出店を計画している。店舗が少ない石川県と愛知県に集中出店し、現在の85%増となる463店を目指す。藤永賢一社長は「3年後に石川で1位、愛知で3位を取る」と宣言した。19年6月決算で年商1000億円を超えたが、連結純利益は13.5%減の26億円と13年6月期以来の減益となった。強気の戦略が奏功するかどうかは未知数だ。
非上場の富士薬品グループ(19年3月期売上高3860億円)も侮れない存在だ。セイムス、スマイル、ユタカなどの名前で店舗を展開している。
このほか、関西圏で高いシェアを持つキリン堂ホールディングス(19年2月期売上高1295億円)、サツドラホールディングス(19年5月期売上高846億円)がある。サツドラは北海道で2位だ。
さらに、岩手が発祥で、宮城、青森、秋田、山形、福島に265店(19年2月末)を展開している薬王堂(9月から株式移転により薬王堂ホールディングス、19年2月期売上高918億円)も“再編予備軍”だ。
(文=編集部)