――そのデジタル事業とは、具体的にどのようなものでしょうか。
安川 直近では、DeNAとSOMPOホールディングスが個人間カーシェア事業の合弁会社「DeNA SOMPO Mobility」と、マイカーリース事業の合弁会社「DeNA SOMPO Carlife」を設立しました。また、自動運転時代を見据えて、ティアフォー、アイサンテクノロジーと自治体や交通事業者が自動運転のサービス実証を実施するためのサービスを共同開発しています。
――介護事業についても教えてください。
安川 SOMPOホールディングスの子会社であるSOMPOケアで、「人間」と「テクノロジー」の共生による新しい介護のあり方を創造するプロジェクト「Future Care Lab in Japan」がスタートし、国内外の最新テクノロジーの実証などを行う研究所を開設しています。
介護業界ではセンサーなどの活用が進み、ベッドの一部が車椅子になるなど、用具の開発も進んでいます。また、車椅子が自動運転化することで食堂などへの移動がスムーズになる可能性もあります。こうした実証を研究所で積み重ねて効果を出し、実効性のあるテクノロジーを現場へ導入し、ケアの品質・生産性向上につなげられればと考えています。
――すでに成果が出ているものはありますか。
安川 介護記録のペーパーレス化を進めるため、スマホによる介護記録システムを導入しています。従来は紙で記録を残していたため、記録するのに一定の負荷がかかっていました。また、マットレスの下にセンサーを配置し、ご利用者の睡眠状態などを把握するシステムを導入しています。夜間の居室への巡回は、ご利用者の睡眠を妨げる可能性がありましたが、センサーの導入で巡回方法を見直すことができ、夜勤の人員の削減にもつなげています。ご利用者の負担を軽減するとともに、結果的に従業員の処遇が改善され、担い手の確保につながればいいと考えています。
(構成=長井雄一朗/ライター)