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香川県民が丸亀製麺を猛批判…兵庫県発祥でも「讃岐うどん」標榜、他店には内容証明送付

文=編集部
香川県民が丸亀製麺を猛批判…兵庫県発祥でも「讃岐うどん」標榜、他店には内容証明送付の画像1
「讃岐釜揚げうどん」を看板に掲げる丸亀製麺

 全世界に1000店舗以上を展開する丸亀製麺(東京都渋谷区)に対する、讃岐うどん店を応援するファンや有識者でつくる「麺通団」の批判が注目を集めている。麺通団団長がブログ上で「今、なぜ多くの誠実な讃岐人や讃岐うどんファンたちから丸亀製麺に対するネガティブな感情が出てくるのか」という記事をアップ。香川県民を中心に讃岐うどんファンの熱烈な支持を集めている。丸亀製麺に対し、香川県民は実際、どう思っているのか。

香川の店でもなく歴史もない

 団長は14日付の麺通団ホームページのブログで、丸亀製麺に対して以下のように主張した。

「誤解のないように申し上げておくが、私は丸亀製麺のビジネスとしての自らリスクをとったチャレンジとその成功に対しては高く評価している。(中略)しかし、少なくとも『讃岐うどん』を名乗る限り、讃岐うどんの世界にあり得ないロジックを全国ネットで流すような、讃岐うどんの歴史や文化、技術、そして魂をないがしろにするようなことは、香川に住んで讃岐うどん巡りブームを起こした讃岐うどんを愛する『讃岐うどん応援団』として、なるべく控えて欲しいと願っているだけである」

 そのうえで団長は、讃岐うどんファンが丸亀製麺に対して抱くネガティブな感情を次のように解説した。

「(1)丸亀製麺は香川県の会社でもなく香川県でうどん店や製麺業をやっていた実績もないのに『讃岐うどん』を名乗り(『讃岐釜揚げうどん』の看板を掲げて)、単店舗の『讃岐うどん店』ではなく、『讃岐うどんチェーン』として全国展開を始めたこと。

(2)その経緯において、香川に『丸亀製麺所』という会社があるのに『丸亀製麺』という名前を付けたり(店舗展開を始めた後からアリバイ作りのように香川県に出店し、香川に『丸亀製麺所』という店があるので香川の店だけ『亀坂製麺』という名前にし、後にほとぼりが冷めたら『丸亀製麺』に名称変更した)、丸亀の『夢う』の大将が教えた職人がロサンゼルスに『丸亀もんぞう』という名前で店を出したら『丸亀製麺と紛らわしいから名前を変えろ』という内容証明付きの文書を送りつけたり、丸亀市の公用車に『丸亀製麺』の広告を出して走らせたり(丸亀市もようそんなものを受けるわ・笑)等々、讃岐うどんを我が物のように扱い始めたこと。

(3)自らが讃岐うどんの大家か代表であるかのように、全国ネットのテレビや雑誌等で『讃岐うどんの歴史や文化や技術』を語り始め(学研と組んで『讃岐うどんのひみつ』という本の監修をしたり、冒頭のようなテレビ番組で讃岐うどんの歴史や技術を全国に向けて語ったり)、しかしその内容の多くは表面的に集めた讃岐うどん情報を頭の中で組み立てて並べただけの怪しいレトリック(表現)や間違いが多いこと。

(4)ところが、無知な全国のマスコミやジャーナリストたちが丸亀製麺を讃岐うどんの代表の一つであるかのように扱い始めたこと。例えば、『丸亀製麺』と『はなまる』をうどんチェーンビジネスとして比べるならまだしも、『讃岐うどんチェーン対決』みたいな扱いをする番組や雑誌から新聞までいくつもあったし、今年に入ってはNHKの『クールジャパン』でも、『うどん』の回で丸亀製麺を『讃岐式うどん店(何じゃそりゃ)』の代表として紹介していた。

…等々、私に言わせれば『気分が悪い』という情緒的なものが大半である。今風に言えば、『讃岐うどんに対するリスペクトが全く感じられない』ということであるが(中略)、そこへこのたび、『全ての店で粉から作る』というキャンペーン(?)で、『はなまる』を含む讃岐うどんに敬意のある大衆セルフチェーンなら絶対やらないようなことをまるでそれが付加価値であるかのように展開し始めたものだから、『讃岐うどんの麺作りをナメてるのか』となって、香川県民の『気分が悪い』が加速したのである。ま、私らだけかもしれんが(笑)」(原文ママ、全文は麺通団ブログ)

 確かに丸亀製麺は兵庫県加古川市発祥だ。Twitter上では次のような批判が殺到した。

「香川県民は 少なからず丸亀製麺 にあまり良い感情を持っていなかったりする

それは こういう理由だよというのを説明した #麺通団 団長日記が熱いやっぱり TVで嘘を言うのは流石に アカンよねー」(原文ママ)

「麺通団団長のブログ全文があったので読んでみた。少なくとも自分が丸亀製麺に抱いているイメージと感情が全て含まれていて、さすがは団長だなと」(同)

西日本豪雨被災の丸亀市を支援

 こうした主張を香川県民はどう思っているのか。ブログで名指しされている丸亀市広聴広報課は次のように語る。

「公用車の広告利用に関しては、ほかの企業さんと同じように公平に募集して貼っています。丸亀製麺さんは兵庫県加古川市発祥なのですが、丸亀市にはいろいろ気を使っていただいて社会貢献活動をしていただいています。市のシンボルである丸亀城の石垣が昨年の西日本豪雨で崩落した際、丸亀製麺さんには国内800店舗で補修のための募金箱を設置して頂いたり、社長の粟田貴也氏から個人的に1000万円寄付していただいたりしました。

 市とは良好な関係です。今回のブログに対しても苦情はほとんどなく、多くの市民の皆さんは丸亀製麺さんのことを悪くは思っていないと思います」

マクドナルドと丸亀製麺

 香川県高松市のうどん店男性店主(54)にも今回の一件を聞いてみたところ、次のように語った。

「例えばマクドナルドは世界を代表するハンバーガーチェーンですが、本式の米国式ハンバーガーの伝統を守っているかどうか話は別です。でも、ハンバーガーという商品と、マクドという新しいファストフード文化を世界中に広げてアメリカの代名詞になりました。要は住み分けの問題です。我々は伝統を守り本格的な讃岐うどんをつくる。丸亀製麺さんは世界にうどんの存在を知らせる。それでいいのではないですか」

 似たような論争は各地で勃発している。日本製パスタの代表格ナポリタンのあり方をめぐり横浜市と名古屋市のファンがネット上で熱い論争を繰り広げたこともある。観光・ご当地メニュー業界では「発祥の地」「本場〇〇の味」を打ち出すのであれば、明確なポリシーや歴史的根拠がなければ炎上するのが常だ。果たして、丸亀製麺にはそれがあったのだろうか。

 丸亀製麺を運営するトリドールホールディングス広報に問い合わせたところ「この度の件において、私どもに届いたお声を真摯に受け止め、より多くの方々に喜んで頂けるように努めてまいります」という回答を得た。

 いずれにせよ、今回の論争がどのように決着するのか注視したい。

(文=編集部)

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