続いて、セグメント別の利益を見てみましょう。
主要な事業である国内外食事業は15年4月から6月の3カ月間で5億円の赤字を計上しています。また、今回売却の決まった介護事業も1億円を超す赤字に転落。さらに、海外外食事業は2億円の赤字、そして農業は6000万円の赤字となっています。
一方、利益を上げているのが宅食事業と環境事業の2事業。宅食事業は3億円を超す黒字を計上し、今やワタミの大黒柱となっています。また、北海道に設置したメガ・ソーラーで発電を行う環境事業も今では安定的な利益を稼ぎ出し、黒字額は1億円を優に超えています。
このようにセグメント別の利益を分析すれば、主力事業の国内外食事業の不振が深刻であり、今後の事業展開にも暗い影を落としかねません。
今回赤字に転落した介護事業は売却することで今後のリスクを回避することができましたが、他の事業も今後も赤字を垂れ流すようであれば撤退を含めた検討が必要かもしれません。
介護事業を210億円で売却し、ようやく一息つけるワタミですが、安心するにはまだまだ遠い道のりが待っていることを決算書が如実に物語っているといえるでしょう。
(文=安部徹也/MBA Solution代表取締役CEO)
※掲載時に一部事実と異なる部分がございましたので、15年10月19日に修正を行いました。ご迷惑をお掛けした皆様、誠に申し訳ございませんでした。
※今回の記事を執筆するにあたり、以下の企業の財務諸表を参照致しました。
ワタミ:平成28年3月期 第1四半期決算短信(日本基準/連結)
http://www.watami.co.jp/ir/library.html
鳥貴族:平成27年7月期 決算短信(日本基準/非連結)
http://www.torikizoku.co.jp/company/ir/
大庄:平成27年8月期 第3四半期決算短信
http://www.daisyo.co.jp/company/ir/kessantanshin.html