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エイベックス離脱でJASRAC「離れ」加速か 崩れる独占、事業に違法の疑いも

文=編集部、協力=山岸純/AVANCE LEGAL GROUP LPC執行役・弁護士
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「一部の者があるビジネスを独占してしまうと、新しい考えが生まれなくなり、そのビジネス自体の発展性がなくなってしまいます。また、そのビジネスの価格が一部の者の考えに左右されてしまい、国民経済が阻害されるという弊害があります。同法の目的はいろいろありますが、それらを防ぐのがひとつの目的です。

 同法で禁止されている独占行為は、『オリンピックの100メートル競走でA国が金メダルを獲得する方法』に例えることができます。

(1)他の出場者と協定を結び、“八百長”により金メダルを獲得する
(2)出場者全員で同時にゴールして、金メダルを獲得する
(3)出場者全員をA国の選手にして、誰かが金メダルを獲得する

 JASRACのビジネスモデルは、最高裁から『他業者の参入を妨げている』と注意されるなど問題視されていますが、これは決められた使用料を支払えばJASRACが管理する楽曲全部を使用できる『包括徴収方式』についての指摘です。それを踏まえて上記の例に当てはめると、JASRACの独占行為は(3)に近いと考えることができます。

 JASRACは、日本のほとんどの楽曲の著作権を管理していることから、事実上『同協会と契約をしない限り楽曲を使えないが、契約をすればほとんどの楽曲を使うことができる』という関係を構築しています。前述の例でいえば、『A国は金メダルを獲得したいので、出場者全員をA国の選手とする。また、オリンピックで金メダルを獲得したければ、A国の国民にならなければならない』という構図になります」

事実上、他者の参入が困難だった著作権管理事業

 JASRACは、著作権管理のシェア約99%を持っているといわれる。これまで、JASRAC以外の著作権管理事業者が少なかったのには、どういった背景があるのだろうか。

「JASRAC以外に著作権管理業務を行いたい者がいれば、楽曲の著作権管理を委託してくれるように、作曲家やアーティスト一人ひとりに『JASRACではなく、私に楽曲の著作権管理を任せてください』と地道にオファーをしていけばいいわけです。しかし、これは現実的には困難な作業であることは明らかです。

 他方で、今回のエイベックスのように多くの作曲家やアーティストと関係があり、すでに彼らの著作権を管理できる状態であれば、すぐに著作権管理業務を始めることができるでしょう。このように、JASRACの問題は、歴史的経緯からJASRACに著作権管理業務が集中してしまい、結果として他者が参入してこなかったという事情も一因です」(山岸氏)

 今後、エイベックスを皮切りにJASRACからの離脱が増えれば、閉鎖的だった著作権管理事業に競争が生まれ、音楽市場の活性化につながることが予想される。
(文=編集部、協力=山岸純/AVANCE LEGAL GROUP LPC執行役・弁護士)

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