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日立“製作所”、ソフトウェア会社化でAIを中核事業に…グループ解体的構造改革が完遂

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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日立製作所のロゴ(「wikipedia」より/Gnsin)

 近年、日立製作所(日立)は社会イノベーションを旗印に思い切った経営改革を進めている。この社会イノベーションとは、人々の行動をより深く理解し、より便利なサービスや製品の創造を目指すことだ。そのための手段として日立は、人工知能(AI)を使って競争力を高めることを狙っている。

 すでに日立は資産の売却などを進め、経営資源を人工知能の開発などより高い成長が期待できる分野に再配分してきた。リーマンショック後、日立は事業ポートフォリオの大胆な見直しに取り組んだ。一時、成長分野に位置づけられたヘルスケア分野でも世界シェアの水準などを理由にCTやMRI関連事業が売却される方針と報じられている。また、すでに日立の上場子会社は4社にまで減った。まさに日立は“聖域なき改革”を進めているといえる。

 世界経済が減速したとしても、企業が従来にはないサービスや製品を生み出し、人々の支持を獲得できれば、成長を実現することは可能だ。日立に求められることは、そうした考えを実行し、成果を手に入れることだ。同社がどのように改革を進め、成長を実現するかが注目される。

日立が目指す“社会イノベーション”

 日立の決算説明や中期経営計画に関する説明資料を見ていると、「社会イノベーション」というコンセプトを目にすることが増えた。社会イノベーションとは、社会を大きく変える、あるいは、これまでの人々の生き方を支えてきた常識に変革をもたらし、世界規模で新しい発想の実現を目指すことだ。そのために同社はAIを重視している。

 具体的な例として日立は、AIを用いて有名ブランドの権利侵害を検知するサービスを開始する予定だ。従来、各企業は自社の商標などの無許諾使用を、人海戦術や消費者などからの通報によって発見し、対処してきた。これに対して日立は、AIにテキストや画像を認識させ、ブランドの不正使用が行われていないかなどを検知するサービスを提供する。

 また、日立傘下の日立建機では、AIを用いたショベルカーの故障予知サービスを始める予定だ。日立建機は、中国IT大手テンセントとの連携も視野に入れている。家電分野でも、日立はドラム型の洗濯機に洗濯から脱水までをAIで調整するシステムを搭載した。そのほかにも、日立は産業用ロボットを用いて生産ラインや物流システムの効率化に取り組む米JRオートメーションテクノロジーズを買収するなど、人工知能に関する取り組みを拡大させている。

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