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関西電力は上から下まで腐りきっている…金品受領は常態化、自治体首長を平気で恫喝

文=有森隆/ジャーナリスト
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関電会見、会見に応じる八木誠会長(写真:日刊現代/アフロ)

 関西電力の社長は業績と無関係に決まる。誰にくっついて引き立ててもらえるかで決まる。役員は御殿女中のようなものだ。役員たちが3度のメシより好きな人事抗争に明け暮れるのはこのためだ。岩根茂樹社長は八木誠会長の御殿女中だったから社長の椅子に座ることができたのだ。

 原発が命綱の関電。原発再稼働に向け、関電幹部は関西広域連合の首長らを関電は恫喝してきた。福井県高浜町の元助役、森山栄治(故人)から金品を受領していた問題で、八木会長と岩根社長は2日に記者会見を開いた。「まるで被害者」のような顔をしていたが、恫喝体質の権化なのは関電だ。嘉田由紀子・元滋賀県知事は「(夏場の)電力不足で停電になったらどうする。お前が責任をとれるのか」と恫喝されたと暴露したことがある。電気を人質にとって脅かすとは、暴力団よりタチが悪い。

 NHKの水野倫之解説委員が9月2日深夜の『時論公論』で「他にも(スキャンダルが)ある」と指摘していた。NHKは3日、正午のニュースで報じていたが、吉田開発ともう1社から直接金品を受け取っていた人物がいるのだ。10月3日付朝日新聞は次のように報じた。

<関西電力は2日夜、役員20人の金品受領問題を巡り、うち3人には福井県高浜町の森山栄治元助役ではなく、工事業者から直接受け取っていた事例が含まれていたことを明らかにした。関電が業者に発注した工事代金を一部が、関電に直接「還流」していた疑いが浮上した。同社によると大塚茂樹常務執行役員が現金100万円と商品券40万円、豊松秀己元副社長がスーツ仕立券4着(200万円相当)、鈴木聡常務執行役員もスーツ仕立て券1着(50万円相当)を吉田開発を含む2社から受け取っていた。このうち豊松氏はスーツ券を使用。返却はしていないという>

 鈴木聡・原子力事業本部副事業本部長は現金7831万円、商品券1950万円、3万5000ドル、金貨83枚、小判2枚、金500グラム、スーツ14着を受領していた。スーツ14着のうち1着は業者から直接手渡されたものだった。大塚茂樹・原子力事業本部副事業本部長は200万円、商品券210万円、1万ドル、スーツ4着。現金100万円、商品券40万円は直接業者からだった。

 豊松秀己・原子力事業本部長は元副社長になっているからだろう。「スーツ券を使用した」と関電が明らかにした。八木会長も「50万円もするとは知らなかった」と言っているらしいが、スーツ仕立て券を使っている。まともな企業のトップは贈り物の価値を調べて、お返しをする。あまりに高価な場合には「お気持だけいただく」といって返却する。他の部署でも金品の授受があったという未確認情報がある。ニュースになるのは時間の問題とみられている。関電は上から下まで腐っているのか。

「収賄でやれる」

 原発推進派の読売新聞は10月3日付朝刊社会面で次のように報じ、<刑事責任「高いハードル」>と予防線を張る。

関電幹部らが工事代金の一部を自身に還流させるため、吉田開発に不当に高い額で工事を発注していれば、特別背任が適用される可能性がある。だが、報告書は幹部らが自己や第三者の利益を得るためではなく、森山氏を恐れて金品を受領したと指摘。工事の額は適切に算定したとして関電の被害も否定した。また、会社法の収賄は、役員が職務に関し、不正の依頼を受け、見返りとして財産上の利益を得た場合に適用される。(中略)関電側は森山氏に対し、工事に関する情報を(発注側に)提供したことは認めているが、報告書は「情報提供は金品の見返りではない」と強調している>

<甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「キーマンの森山氏がすでに死亡し、関電の説明の真偽を確かめるのは困難。刑事訴追は難しいだろう」と指摘する>

 法曹界では「法外な金額だ。会社法の収賄でやれる」との意見が多いという。

経産省の手のひら返し

 菅義偉官房長官は10月2日の記者会見で、関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題について、「本日(2日)の説明内容を踏まえても、受領した金品が個人で管理されていた経緯や、これまでの会社としての対応などガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の観点からさらなる事実究明が必要な点も多い」と述べた。また岩根社長や八木会長の進退については、第三者による徹底的な調査と原因究明が不可欠とし、「その上で経営問題について判断されることになる」と話した。

 菅原秀一経済産業相は10月2日、記者団の取材に応じ、役員の処分について「今後、役員がどうするのか。経営判断というものは当然なされると思う」と述べた。さらに「金額も法外。もともとあってはならない事態」と非難した。原発推進では一心同体の経産省は、手のひら返しに出た。

 関電の筆頭株主の大阪市の松井一郎市長は「非常に残念な会見。まったく納得いくものではなかった」と述べた。「疑惑は晴れていない」として、関電が設置する第三者委員会に市から専門家を推薦し、メンバーに加えるよう求める考えを示した。弁護士である橋下徹・元市長も選択肢かと記者団に問われると「検討できる」と応じた。

 松井市長は臨時株主総会の開催や株主代表訴訟について言及している。腰砕けに終わらなければいいのだが。「言い訳に終始した。金品をもらったことへの結果責任がある」(松井市長)と改めて厳しく批判した。

(文=有森隆/ジャーナリスト)

有森隆/ジャーナリスト

有森隆/ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

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