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渋谷駅に神がかり的な立ち食いそば店!席着くと同時にそば来る、尋常ではなく美味!

文=牛嶋健/A4studio
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渋谷駅に神がかり的な立ち食いそば店!席着くと同時にそば来る、尋常ではなく美味!の画像1本家しぶそば(「しぶそば HP」より)
 近年、飲食業界には“立ち食いブーム”が訪れているが、やはり立ち食いといえば立ち食いそば。毎日を忙しく過ごすビジネスパーソンでも、立ち食いそばならば手軽かつ素早く食事を取ることができるとあって、朝昼夕とお世話になっている方も多いだろう。そんな立ち食いそば店の中でも、極めて速い提供速度と味の質を兼ね備えた店が東京・渋谷駅に存在するのだ。

 JR東日本の乗降客数ランキングの5位であり、1日の乗降客数が約37万人というターミナルステーション、渋谷。その渋谷駅のJR玉川口からほど近い東急百貨店の南館2階にあるのが、件の「本家しぶそば」だ。

注文から26秒でそば到着!

 本家しぶそばは、ほかの多くの立ち食い飲食店とは違い、券売機を採用していない。

 注文は入口を入ってすぐのレジにいる店員に伝え、その場で料金を支払うと店内に誘導されるのだが、セルフサービスの水を汲んで指定されたテーブルに着くと同時に、注文したそばがホールにいる店員によって目の前に運ばれてくるのである。どう考えても速すぎるのだが、そばのコシもしっかりとしていて茹で置きのものでないように感じられた。

 注文からそば到着までの時間を計測したところ、なんと26秒という早業。さらにあくまで筆者個人の感想ではあるが、つゆの風味もそばのコシもこれまで食べた立ち食いそば店の中で一、二を争うような味わいだった。ランチタイムを少し過ぎた時間に訪れたのだが、それでもランチを食べそびれたビジネスパーソンがひっきりなしに入店し、店内は大賑わい。ちなみに、ほかの来店客に商品が提供される時間も、20~30秒前後と目を剥くような速度で提供されていた。

 2014年9月に厚生労働省の健康局生活衛生課から発表された「飲食店営業(そば・うどん店)の 実態と経営改善の方策」のデータによると、外食産業全体では年々縮小を続けており、12 年の市場規模は1997年当時と比べ79.9%と大幅に減少している。しかし、そば・うどん店の市場規模については、97年の1兆856 億円から12年の1兆718 億円と微減した程度で、市場規模としては98.7%を保っている。つまり、飲食店業界の中でも不況に強く、変化の少ない有望な市場といえるだろう。

 現在、都内の駅の近辺を見ると新興の立ち食いそば店やセルフ式のうどんチェーンも多く出店されており、チェーンごとに苛烈な競争を強いられているが、提供速度を上げようとすれば味が落ち、味の質を高めようとすれば提供速度が遅くなってしまうというジレンマを抱える店も多い。そんななかで本家しぶそばは、異常ともいえる提供速度と味の質を誇り続けているわけである。店舗を運営している東急グルメフロントの畠山政幸氏にその秘密を聞いた。

レジスタッフ装着のマイクが鍵

本家しぶそばはもともと『そば処二葉』という名で営業していましたが、08年から名前を改めてリスタートしました。現在は、東急線沿線を中心として渋谷の本家しぶそばを筆頭に、しぶそば10店舗を東京都内や神奈川県内に展開しています」(畠山氏)

 合わせて11店舗の中で券売機を使わずに営業をしているのは渋谷の本家しぶそばのみだそうだが、それには理由があるという。

「こちらの店ではレジで注文を受けていますが、そのやり取りをマイクで拾ってキッチンへ伝えています。そのレジ担当者のマイクの声を聞き、わかる範囲内でキッチンは先取りした動きができるんです。もちろんお客様からの注文が終わった段階でレジ担当者からあらためて正式にキッチン担当者へオーダーを飛ばしてはいますが、その段階でもうすでに調理途中であるケースが多いということですね」(畠山氏)

 一般的な立ち食いそば店の場合、券売機で食券を購入してスタッフに渡すわけだが、そうなると「食券の確認」「商品の受け渡し」などをキッチンのスタッフが行わなくてはならず、提供速度が遅くなってしまうのだろう。だが同店ではレジに1名、ホールに2~4名、キッチンにも2~4名配置されており、ランチタイムのピーク時には最大9名が店舗で働いているそうだ。こうしてキッチンとホールの作業を完全に分担することで提供速度も上がり、キッチンスタッフは味の質にも気を配ることができるようになる。もちろんその分、人件費も膨らむわけだが、それでも利益が上回るという。

「駅の中にある立ち食いそば店という特性上、お客様の時間を大きく奪うわけにはいきません。とはいえ、私たちから従業員にとにかく速くしろと指導しているわけでもないのです。旧店舗の『二葉』の頃から従業員達の中に“速く、うまく、お客様に提供しよう”という文化のようなものが根付いているのだと思います。そういった文化がお客様にも伝わって、平日の場合、1日の利用客数が2000人前後にもなっているのだと考えております」(同)

 前述の「飲食店営業(そば・うどん店)の 実態と経営改善の方策」によると、立ち食いそば店の1日の利用客数は平均166.7人。その12倍以上の2000人となると、都内有数のターミナル駅とはいえ尋常ではない数字であることは明白だ。その分の利益をきちんと従業員の数として還元することで、サービスの向上や来店客のリピートにつながっているのではないだろうか。

「弊社としましては、飲食店としてしっかりと着実にお客様にサービスを行っていきたいという考えがあります。提供速度もそうですが、そばにしても関係各社にご協力いただいたうえで生麺の配送を1日2回にしたり、夏と冬で麺の細さを調整してもらうなど、細かな部分まで気を遣っております」(同)

 立ち食いそば店はセルフサービスの部分が大きいため、忘れられがちなサービスや味の部分をしっかりとフォローする。それこそが本家しぶそばに毎日2000人が訪れる秘密なのかもしれない。
(文=牛嶋健/A4studio)

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A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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