Tポイント
CCCは03年10月、共通ポイントサービス「Tポイント」を開始した。ユニークな点は、ポイントシステムを外部に開放したことだ。通常、ポイントの発行は顧客の囲い込みのために行われるもので、発行元の店舗以外では利用できない。
しかしCCCは異業種と提携して、ツタヤで貯めたポイントをコンビニエンスストアやガソリンスタンドで使えるようにした。使い勝手の良さが受けてTカードの発行枚数は、08年8月に3000万人、12年5月に4000万人、14年10月に5000万人を突破。20代に限れば7割以上がTカードを所有しているといわれる。提携先企業はTカード利用者に発行したポイント数に応じて、CCCにシステム使用料を支払う。この手数料がCCCのカード事業の収益になる。
カード事業は好調な一方、本業であるDVDをはじめとするコンテンツのレンタルはスマートフォンやタブレット端末によるインターネット配信の急速な普及に押されて減収をたどっている。08年3月期に2377億円あった売上高は、11年同期には1699億円に落ち込み、4年間で3割近くダウン。今後の大きな回復は難しいとされる。
増田社長は11年2月、MBO(経営者が参加する買収)を実施し、東証1部上場の廃止に踏み切った。増田社長が保有する41%分を除く全株式を1株600円で公開買い付け(TOB)した。買い付け総額は696億円にのぼった。
非上場化する理由について増田社長は「未踏のジャングルに踏み入るにあたり、短期的には株主の利益を毀損する恐れがあるため」と説明した。短期的な利益を求める公開会社という制約に縛られては、思い切った転換ができないというわけだ。
CCCは主力だったビデオレンタルから、カフェを併設した大型店や、デジタルテレビ向けのコンテンツ配信事業、ネットサービスに軸足を移すことになる。
11年12月、東京都渋谷区代官山に蔦屋書店を中核とする「代官山 T-SITE」を開業。これが大型店のモデル店となった。書籍やDVDのほか、文具、キッチン雑貨など幅広い商品を揃えた。代官山を皮切りに神奈川県藤沢市にも開業し、大阪府枚方市の近鉄百貨店跡にも建設中だ。この代官山店を見た樋渡・前武雄市長がカフェを併設した図書館をつくってほしいとCCCを誘致したことは、前述した通りである。
業績は好調
CCCは非上場化して以降、財務諸表を一切公開していない。ホームページ上に「連結売上高、195,914百万円、2014年3月期」と載っているのみ。しかも1年以上前の古い数字だ。