中西氏は2014年11月、オンリーの社長に就任したばかり。逮捕を受けて社長を辞任し、10月6日、創業者で父親の中西浩一会長が代表権を再び持ち、社長を兼務した。
浩一氏は京都の鴨沂高校を卒業後の1964年、紳士服を仕立てる会社に入社。70年に独立して紳士服中西を設立し、男子服のテーラー(仕立て)からスタート。76年にオンリーを設立、ビジネススーツの小売りに転じた。
団塊の世代に当たる20~30歳代男性向けを中心に、1万9000円と2万8000円でスーツを売った。最近増えたいわゆる「ツープライス店」の草分け。オーダースーツの製造小売りも手掛けるようになり、05年7月、大証ヘラクレスに上場し、今年5月には東証2部に市場を変更した。
息子の浩之氏は同志社大学大学院を卒業して、05年1月にオンリーに入社。08年8月にオンリーを退社、08年9月に丸井グループへ入社。1年後の09年8月、オンリーに再入社して14年11月、会長兼社長だった浩一氏から社長を引き継いだばかりだった。
資本・業務提携が不調
オンリーの大きな転換は、08年4月の丸井グループとの資本・業務提携だった。丸井グループはオンリーが実施する7.7億円の第三者割当増資を引き受け、出資比率は21.8%となり持ち分法適用会社に組み入れた。
丸井グループは小売業の丸井とクレジットカード事業が2本柱だ。丸井は自社ブランドで展開するスーツは4万~6万円台が中心だが、オンリーからツープライス製品を仕入れ、低価格帯の品揃えを広げる狙いがあった。
一方、関西が中心のオンリーは丸井が展開する首都圏の店舗に出店して、売り上げの拡大を狙った。浩之氏が1年間、丸井グループに勤めたのは、丸井のノウハウを身につけるためだった。
しかし、提携は不調に終わる。11年2月、資本提携を一部変更。丸井グループが保有する株式の大半をオンリーが買い戻した。15年2月末時点で、丸井グループの持ち比率は2.5%で第5位の株主にとどまる。筆頭株主は浩一氏の28.4%。2位は、丸井グループから株を買い取った自社株口が19.2%。紳士服チェーンのはるやま商事が4.9%で第3位の株主となっている。浩之氏の持ち株は6万株(1.0%)で第8位の株主だ。