三菱自は、2016年にSUV「RVR」をフルモデルチェンジする計画だった。同社は「RVR」や「アウトランダー」などのSUVと、電気自動車・プラグインハイブリッドカーの電動化技術の2つに注力して事業の拡大を図っていく計画を策定していた。特に、SUVは新興市場から北米などの先進国市場まで、グローバルで成長が見込まれており、その中でも小型SUVであるRVRは戦略モデルとして重要な車種だった。
RVRはグローバル展開するモデルとして高い低燃費化目標を掲げており、これを達成するため、車両の軽量化がキーとなっていた。諭旨退職となった管理職2人は、RVRの軽量化の責任者だったが、三菱自によると「目標重量を達成できないことが明らかになったにもかかわらず、重要な機関決定の場でも開発の遅れを報告しなかった」(同社執行役員)。目標としていた車両重量や燃費の目標を達成できないことが明らかになり、同社は新型車の開発スケジュール全体の見直しを余儀なくされた。
燃費などが目標を達成できないと、各国の燃費規制やインセンティブにも影響するためだ。三菱自では、RVRの16年のフルモデルチェンジを先送りし、代わって現行RVRのプラットフォーム(車台)を使って小型SUVの新型車を17年に投入する。同時に、RVRの次期モデルは19年度までに開発して市場投入する計画に仕切りなおした。
「厳しすぎる」との声も
三菱自にとって重要な戦略モデルで新車開発スケジュール全体を見直すことになったとはいえ、これらを理由に退職を迫られるケースは珍しい。戦略モデルの開発計画の遅れは、同社の業績にも大きな影響を及ぼすことの重大性を考慮したと見られるものの、同業他社からも「処分は厳しすぎるのでは」との見方も出ている。