例えば、今年6月には、列車内でDJとダンサーがパフォーマンスを披露するイベント列車「SEIBU RAILWAY PRESENTS ageHa TRAIN」を運行した。これは、国内最大級のクラブイベント「ageHa(アゲハ)」とのコラボレーションによるものだ。
8月には、サッポロビールとのコラボによる「ヱビスビール特急」を運行、列車内に特設のバーカウンターと生ビールサーバーを設置し、ヱビスビールが約2時間飲み放題となった。
また、10月31日にハロウィンのイベントとして運行されたのは、「アイドルトレイン1号/2号」と「KAWAII HALLOWEEN PARADE TRAIN」だ。前者は女性アイドル7組が列車内でライブを披露し、後者は列車内の通路を“ロングランウェイ”に見立ててファッションショーが展開された。
来春には、レストラン仕様の観光列車も運行する予定だ。「走るレストラン」とも呼ばれるこの列車内には、オープンキッチンがあるほか、結婚式や演奏会などを開くこともできるという。西武鉄道は、これによって国内外の観光客を沿線に呼び込み、地域活性化につなげる意向もある。
西武鉄道の異彩を放つ取り組みの真意はどこにあるのか。同社鉄道本部運輸部の中山寛氏に
・西武鉄道の戦略
・西武沿線エリアの魅力や価値創造
・今後の課題やビジョン
などについて、話を聞いた。
“攻めの西武”を全面に
–鉄道会社ひいては電車のイメージを変えるような、ユニークな取り組みが続いています。
中山寛氏(以下、中山) テーマは“攻めの西武”。従来のような「乗ってくれるだろう」という受け身の姿勢では、これからの時代に生き残っていくことはできません。鉄道業界は、他社のことを「競合他社」ではなく「同業他社」と呼ぶことも多く、どこか牧歌的なところがありますが、業界内で自社の立ち位置をしっかりと認識して、独自の施策を打ち出し、差別化していくスタンスが重要です。
当社の1日の乗降客数は、1991年の約180万人をピークに2013年には167万人に右肩下がりの状況でした。そんな状況下で反転攻勢に打って出るわけですから、アグレッシブにやらなければダメでしょう。そこで、ただ「どうぞ、乗ってください」と言っても、乗ってくれるわけはありません。まずはなじみを持ってもらうことも含めて、「乗りたい」と思わせるような施策を打ち出しています。
しかし、同じことを続けていてはマンネリ化するし、他社も同じような取り組みをするでしょう。どんどん新たな取り組みを打ち出していくことが重要です。