消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
ハムの詰め合わせセットは、お歳暮の定番商品である。賞味期限が長い、年末年始に使い勝手がよい、さまざまな料理に使いやすい、好き嫌いが少ない、などが人気の理由だ。しかし、発がん性が報じられて、「相手に贈る歳暮品には好ましくない」と考えた消費者が多かったことを物語る。WHOの発表が、お歳暮用ハムにもたらした影響は甚大だった。
影響はスーパーにも出ている。日本チェーンストア協会がまとめた15年10月の全国のスーパーの売上高は1兆712億円で、既存店ベースで前年同月と比べて2.8%増加。7カ月連続で前年を上回った。野菜などの価格が高くなったことや、10月前半に気温が低くなり、衣料品の売り上げが伸びたことによる。
一方、畜産品はハム・ソーセージの売り上げが落ち、伸びが鈍化した。同協会は「WHOが加工肉に発がん性があると発表したことが、一部で影響した」と分析した。
メーカーの業績への影響
こうした事態は、ハム・ソーセージメーカーにとって深刻だ。ハム・ソーセージメーカー大手4社の15年9月中間決算は、牛肉や豚肉の価格上昇の影響で売上高が前年同期を上回った。伊藤ハムはニュージーランドの食肉大手を子会社にしたことで、営業利益は52億円(前年同期は12億円)と大幅増益。また、プリマハムは41億円(同36億円)、丸大食品は21億円(同18億円)と、こちらはずれもコスト削減などで増益となった。
業界最大手の日本ハムだけが、ハムやソーセージの業務用の販売が苦戦し、営業利益は217億円(同223億円)で減益となった。ハム・ソーセージの売上高は699億円。全社売り上げ(6203億円)の11.3%。前年同期に比べて4.9%の減収となった。
WHOの発表が業績に影響を及ぼすのは、下期(15年10月~16年3月)からだ。「“WHOショック”で、4社とも15年度通期決算業績の下方修正を迫られる」(業界筋)との見方が早くも広まっている。
(文=編集部)
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