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海外勢低価格のカラクリ

豪華クルーズの“格安”LCC元年到来なるか…10日間で10万円?

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豪華クルーズの“格安”LCC元年到来なるか…10日間で10万円?の画像1客船「オアシス・オブ・ザ・シーズ」
(「Wikipedia」より)
 昨年は日本初のLCC(=Low Cost Carrier:格安航空会社)、ピーチ・アビエーションが就航するなど、まさにLCC元年だった。空の旅は国内・国際ともに大競争時代に入ったわけだが、船のLCC(=Low Cost Cruise)も2~3年前から本格化しつつある。船の旅も激しい競争へと突入するのか。

「クルーズ(船の旅)=高価な旅」というイメージを持っている人が多いかもしれない。それは、「豪華客船『飛鳥』の世界一周クルーズ105日間、500万円」というようなツアーを思い浮かべるからだろう。実際、定年退職を迎えた夫婦や高齢者をターゲットにした豪華クルーズが、すぐに予約でいっぱいになるというニュースは、10年以上前から報道されてきた。

 しかし、そうしたイメージも大きく変わるかもしれない。これまで富裕層を対象に顧客の裾野を広げてきた日本のクルーズ市場に、外国の船会社が大型船を投入し、格安豪華客船の旅を展開し始めているのだ。

 例えば、イタリアの豪華客船「コスタビクトリア」で行く、横浜発着7日間の旅が6万9800円~9万9800円。韓国の済州島や長崎、高知を回って戻ってくる。同じく、横浜発着「コスタビクトリア」で神戸や金沢、韓国の釜山を回る10日間の旅10万円というのもある。「コスタビクトリア」は7万5000トンで964室だから、「飛鳥Ⅱ」(5万142トン/436室)よりもかなり大きい。船内にはプールやジム、バーやディスコのほか、カジノや劇場もあって、退屈することはまったくない。そして、朝・昼・夕の全食事付きである。

 東京発横浜着「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」で釜山・長崎に行く6日間の旅も、10万8000円~とかなり格安だ。この船は13万7276トンとさらに大きく、アジア最大の客船である。

 シアトルに本拠を置くクルーズ会社、ホーランド・アメリカ・ラインが運航する「フォーレンダム」(6万1214トン)で中国の大連と上海に行く神戸発着15日間クルーズは、6万9800円~21万8000円。もちろん、全食事付きで添乗員まで同行する。「お休み前のナイトチョコレートを毎晩お届け」なんていう外国船籍らしいオシャレなサービスもある。

●外国船格安の秘訣はカジノ?

 これらの例を見てもわかる通り、外国船のクルーズは日本船の5分の1で、1泊1万円程度だ。これはクルーを外国人にして人件費を削減しているのと、乗船人数の多い大型船を使用することで実現している。しかし、日本人クルーも乗船しているので、日本語対応は問題ない。また、日本の船だと法律上カジノを置くことができないが、外国籍だとこれが可能だ。カジノは客船にとって大きな収入源であり、これも船賃に影響しているのである。

 国土交通省の調査によると、11年の日本人クルーズ旅行利用者数は、外航クルーズ10万4000人、国内8万3000人で計18万7000人だった。東日本大震災の影響もあり、前年比1%減となった。
 
 00年、マレーシアのスタークルーズ社が神戸発の韓国クルーズを3泊4日で3万円という破格料金で売り出したときは、約2万人を集め、この年は利用者数が年間20万人を超えた。日本にも本格的なクルーズ時代到来かと期待されたが、景気の低迷と同社が翌年に日本から撤退したこともあり、日本のクルーズ市場はその後伸び悩んだ。

●中国経済成長の恩恵

 欧米の船会社による格安クルーズが始まったのは3年ほど前からで、そのきっかけは中国の経済成長だ。アジア市場に目をつけて船を持ってくるようになったわけだが、日本にも船を回そうということになった。冒頭にも書いた通り、それまでは格安クルーズというものがなく、日本の客船による豪華クルーズばかりだった。また、金額もさることながら、スケジュール的に100日間はムリでも、1週間や10日程度なら現役世代でも休みが取れるというものだ。

BusinessJournal編集部

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