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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

ユニクロ、連続客数減地獄に突入か…値上げの一方で巨額広告費、失敗or長期利益拡大?

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

品質維持のためのやむを得ない値上げ?

 快進撃を続けてきたユニクロの業績が、最近は芳しくないようです。具体的には11月まで6カ月連続で国内の既存店客数が前年を下回っているという状況です。

 こうした主たる要因として、イオンやイトーヨーカ堂といった総合スーパー(GMS)が本格的に衣料品に力を入れてきたといった外部要因に加え、ユニクロにおける値上げという内部要因が指摘されています。値上げに対して、ユニクロは「今の品質を守るため」と説明しています。

自らが意図した値上げ?

ユニクロ、連続客数減地獄に突入か…値上げの一方で巨額広告費、失敗or長期利益拡大?の画像2『「高く売る」戦略』(大崎孝徳/同文舘出版)

 ユニクロの値上げに対して、もちろん円安という状況で品質を維持するためにやむを得ずという理由もあるでしょうが、それ以外にもユニクロ自身が積極的に値上げを推進している面もあるように思われます。

 たとえば、主要都市の一等地に立地する大型で豪華なフラッグシップ店(旗艦店)、テニス界の王者ノバク・ジョコビッチや錦織圭、ゴルフ界の王者アダム・スコットなどとのスポンサーシップ契約、テレビCMをはじめとした大々的なマス広告の展開など、認知度の向上やイメージアップを主としたブランド戦略に対して極めて大きな投資が行われています。

 こうした費用は当然のことながら商品の価格に上乗せされることになります。さらに、ユニクロを展開するファーストリテイリング(ファストリ)は、GUというユニクロよりも低価格帯となるブランド展開を始めたことにより、GUよりも明確に高価格に設定しなければならない事情もあるでしょう。

GAPのビジネスモデル

 ユニクロはこれまで基本的にファストファッションの元祖ともいえる米GAPの戦略を追随してきています。GAPはアパレルメーカーから商品を仕入れて販売するという従来の衣料品小売の形態を、小売商自らが商品の企画を担う製造小売業というスタイルに変化させました。

 また、GAPは傘下に低価格ブランドとなるOLD NAVYという衣料品小売店を展開しています。これにより、現在のGAPの価格はもはやファストファッションとはいえないほど高価格化してきています。こうした状況を踏まえれば、ファストリがユニクロの価格を上げる余地は、まだあると考えても不思議ではないでしょう。

 仮にユニクロの客数が減少することになっても、ある程度の高価格を許容してくれる消費者を一定数確保でき、そうでない消費者がGUに流れるというストーリーを構築できれば、ファストリにとっては決して悪い話ではないでしょう。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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