東京・表参道にあるカジュアルダイニング、billsに行ってきました。
billsは、オーストラリア・シドニーで生まれ、「リコッタパンケーキ」や「オーガニック スクランブルエッグ」など、シンプルなものに独創性を織り交ぜた料理が人気となっています。同店のスクランブルエッグは米紙ニューヨークタイムズで「世界一の朝食」と評され、その勢いは日本以外にも、ハワイ、韓国にまで広がっています。
近年はパンケーキブームもあって、リコッタパンケーキが名物となっているようです。俳優のレオナルド・ディカプリオが映画の撮影の合間にシドニー店へ毎日のように食べに訪れたことで一躍有名となりました。
さて、筆者が訪れた日、同店には40名の行列ができていました。10代、20代の女性がメイン顧客で、ほとんどが女子だけのグループで来店していました。若い女性はブームに弱いようです。
経済学や政治学、社会学に「バンドワゴン効果」という用語があります。ある選択が多数に受け入れられたり流行することで、その選択への同調が一層強くなることをいいます。バンドワゴンとは行列の先頭をいく楽隊車のことで、「勝ち馬に乗る」「時流に乗る」という意味があります。
Billsに並ぶ人たちは、まさに行列の先頭にある楽隊車を目指していたかのようです。パンケーキブームはバンドワゴン効果を引き起こしているといえます。
バンドワゴン効果は選挙における投票行動に如実に現れるといいます。マスメディアによる選挙の報道で優勢と伝えられている候補者に有権者は投票しがちになる現象がよく見られます。また、実際には投票していないにもかかわらず、選挙後の調査において、当選候補者に投票したと答える人の割合が実際に当選した候補者の得票率を上回る例が多いといわれます。つまり、勝ち馬に乗っていることを主張するのです。これはバンドワゴン効果の最たるものです。多数派の意見に同調している自分でありたいとの意思の表れです。
行列で考えると、並んで待たなければならないという面倒よりも、仲間と同調することで得られる報酬や興奮、もしくは孤立を回避したいとの思いが強く働いていると考えられます。むしろ、行列に並ぶ面倒を仲間と共有したという体験が、よりバンドワゴン効果を強くしているともいえます。
このバンドワゴン効果を利用したマーケティング戦略はよく見かけますが、特に良い意味でも悪い意味でも若年層に効果的といわれています。表参道界隈は若い世代が多く訪れる街であり、バンドワゴン効果の影響は顕著です。