アメリカのファストファッションブランド「FOREVER21」が日本撤退するなど、海外ファストファッションブランドが日本市場で苦戦しているなか、日本のファストファッションブランドの雄「ユニクロ」も油断できない。
ユニクロとその姉妹ブランド「GU(ジーユー)」を運営するファーストリテイリングが10月10日に発表した「2019年8月期 決算サマリー」によれば、2019年8月期の連結業績は、売上収益が2兆2905億円(前期比7.5%増)、営業利益が 2576億円(前期比9.1%増)と過去最高の業績を記録。だが国内ユニクロ事業に限っていえば、売上収益は8729億円(前期比0.9%増)だが、営業利益は1024億円(前期比13.9%減)と増収減益。昨冬が暖冬だった影響で、上期が大幅減益したためだという。
2019年12月には、東南アジアで6カ国目となるベトナム(ホーチミン)に店舗を初出店したというニュースがアパレル業界では話題になったが、海外事業強化は、頭打ち感のある国内事業をカバーするための施策だとも考えられる。
さて、そんな盤石とは言い切れない状況のユニクロ。アイテムはベーシックなデザインがメインで、ファッションに詳しくないビジネスパーソンでも着こなしやすいイメージがあるだろう。しかし、実はユニクロのなかには着こなしが難しく、着る人によってはダサくなりがちな服も少なくないのである。
ということで今回は、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が「この冬、買ってはいけないユニクロの服5選」をセレクト。そして、恋愛コラムニストで10年以上のファッションライター経験もある堺屋大地氏に、なぜおすすめできないかを解説していただいた。
今回、以下の3つを基準として選定した。
・ファッションビギナーが着るとダサくなる可能性が高いこと
・“最先端のおしゃれ”すぎて一般ウケしない場合があること
・無理に若ぶっているように見えるなどして女子ウケが悪いこと
では、「買うべき・買ってはいけない調査班」が選んだ「この冬、買ってはいけないユニクロの服5選」を紹介していこう。
ウォームパデットコート/3990円(税別、以下同)(※値下げ後価格)
表地は軽量で撥水性のあるナイロン、中身はポリエステルの中綿を採用したアウターで、保温性と断熱性を両立した大きめキルティングがポイント。クリストフ・ルメール率いるパリのデザイナーチームが手掛けたアイテムだ。カラーバリエーション(カラバリ)はブラック、レッド、オリーブの3色展開。
「『買ってはいけない』理由はいたって単純で、これを買うならユニクロのダウンを買ったほうがいいから。ユニクロの『ウルトラライトダウンボリュームジャケット』は、文字通りきちんとダウンを使用していて、今は4990円(値下げ後価格)で買えます。見た目がダウンジャケットっぽいけど中身はただの中綿という、このウォームパデットコートのほうが高い意味が、正直まったくわからないです」(堺屋氏)
フリースノーカラーコート/2990円(※値下げ後価格)
「デザイナー鈴木大器が率いる、ニューヨークのEngineered Garmentsによる洗練されたデザインと、UNIQLOの美意識が融合した新しいLifeWear」を標榜したフリースアウター。なめらかなマイクロフリースを表面に、ふわふわなボアフリースを裏面に採用し、この2枚を貼り合わせることで高い保温性を誇っている。カラバリはブラック、ベージュ、ネイビーの3色展開。
「ファッション性が高すぎて、普通の中年男性が着るとただただダサくなると思います。ユニクロの公式サイトでは外国人モデルが着ているのでカッコよく見えますが、日本人でこれを着こなせるのは、高身長のイケメンか、20代のファッション好きぐらいでしょう。フロントはファスナーでもボタンでも留められるようになっていて、ここでシルエット調整ができます。ただ個人的に、ファスナーで留めたときの“ボタンの余ってる感”が非常にカッコ悪く感じましたね」(堺屋氏)
ボアショートブルゾン/3990円(※値下げ後価格)
クリストフ・ルメール率いるパリのデザイナーチームが手掛けたアウターで、表地にはコットン100%のモレスキンを採用し手触りがよく、裏地にはシェルパフリースを採用し保温性を追求している。カラバリはブラック、ブラウンの2色展開。
「値段相応なのかもしれませんが、ウリにしているボアの安物感が『買ってはいけない』理由ですね。見た目ではそこまでわからないかもしれませんが、触ってみると“安かろう・悪かろう”な素材であることがわかります。10代の若者ならばこれでも充分オシャレできますが、30代以上の大人の男性は手を出さないほうがいいアイテムです」(堺屋氏)
ドラゴンボール スウェットプルパーカ(長袖)/2990円
『ドラゴンボール』のキャラクターをあしらったパーカで、孫悟空デザイン、フリーザデザイン、ブロリーデザインなどがある。
「ユニクロのアニメコラボは本当にダサいものが多いんです。誤解なきように言っておきますが、『ドラゴンボール』がダサいとかカッコ悪いとか言っているわけではなく、ユニクロのデザインセンスがダサいんです。例えば、ネイビーの生地の胸元に、大きく孫悟空プリントと『GOKU』という文字があしらわれているなど、ひどいものです。“一周まわってオシャレ”を狙っているのかもしれませんが、全然一周まわれてない感じですね」(堺屋氏)
スリムフィットチノ/2990円
ストレッチを効かせてあり、スマートな脚シルエットを実現できるチノパン。高密度チノ素材は表面がなめらかで、起毛感もあるので手触りもいい。カラバリはグレー、ブラック、ベージュ、ブラウン、ダークグリーン、ネイビーの6色展開。
「ユニクロは素材感をウリにしていますが、このパンツに関してはその素材感こそが『買ってはいけない』要因になっています。というのも、店頭でディスプレイされている時点で生地にシワがついており、見るからに安物素材という印象を受けたんです。もちろん洗濯するたびにきれいにアイロンをかければ済む話かもしれませんが、いちいちアイロンを掛ける手間が億劫だという忙しいビジネスパーソンは、買わないほうが無難でしょう」(堺屋氏)
ユニクロで「ダサい」と感じるものがあるのは、ある程度想定内かもしれないが、今回挙げたアイテムのなかには“安かろう・悪かろう”で素材感もイマイチなものもあった。そもそもファストファッションブランドに、素材の品質を求めるのは酷な話かもしれない。だがユニクロは近年、素材のクオリティーを高めることを重視していたため、こだわりを感じない素材を使用したアイテムには、残念な印象が残ったのは事実だ。
もちろんユニクロには、「この冬、買うべきユニクロの服5選」で紹介したアイテムのように、オシャレでカッコよく、それでいて素材も高品質でコスパ最高というものも多いため、玉石混交のなかから見極める目が必要なのだろう。ぜひ冬コーデの参考にしていただきたい。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)
※情報は2019年12月9日現在のものです。