「すげえええええ!」
「ロボットが現代の侍・町井勲氏と一緒に居合斬りだと?」
今、「YouTube」で世界中から絶賛されている動画がある。産業用ロボットメーカーの安川電機が公開した『YASKAWA BUSHIDO PROJECT / industrial robot vs sword master』だ。
2015年6月の公開後、再生回数は560万回を超えている(16年2月現在)。海外メディアにも取り上げられており、その数はまだまだ増えるだろう。
この動画は、産業用ロボット「MOTOMAN-MH24」が居合術家の町井勲氏と共に居合斬りに挑戦するという内容だ。安川電機の創立100周年を記念した「YASKAWA BUSHIDO PROJECT」の一環である。
「平成の侍」と呼ばれる町井氏は、修心流居合術兵法の創始者だ。日本刀を用いたパフォーマンスでは「居合千本斬り36分4秒」「据斬八太刀」「三分間速斬り252太刀」「最速テニスボール居合斬り」「6ミリBB弾居合斬り」の5つでギネス世界記録を保持している。
安川電機は、町井氏の剣技をモーションキャプチャした後に3D解析し、そのデータを基にプログラミングを行い、同氏の協力を得て、刀の入射角度や速度の調整を繰り返した。その際に、刀を何本も無駄にするなど、制作過程には大変な苦労があったようだ。
そのかいあってか、完成した動画には世界中から驚きの声が上っている。
「ロボットの精度すげー!」
「達人の超越した技術と勘を、ロボットが受け継いでいる」
「『MOTOMAN』のティーチペンダント(端末)は本当にすごいね!」
「ロボットアームの動きって、こんなにも滑らかなんだね。人間のようなやわらかい動きで感動したよ!」
「最後に礼をするところが素晴らしい。いくら完璧に斬ることができても、礼節や武士道の精神がなかったら居合ではないから」
「ついに、ロボットは居合の達人技まで使えるようになってしまったのか」
「やっぱり日本の技術力は世界一だよ!日本はいったいどこに向かっているんだい?」
福岡県北九州市に本社がある安川電機は、産業用ロボットの世界シェア1位を誇り、自動車・半導体・食品・医療など、さまざまな分野でその技術が活用されている。なかでも、「産業用ロボットの性能限界」ともいえる俊敏性やしなやかさを備えた「MOTOMAN」は、まさに日本の『ものづくりスピリット』を体現したロボットといえるだろう。
動画のラストでは、町井氏と「MOTOMAN」が一礼をする。武士道が大切にする礼節や相手を思いやる心も表現しており、まるで町井氏と「MOTOMAN」が心を通わせている同志に見えてくるから不思議である。この動画は、「日本の技術力」と共に「日本の心」も世界に知らしめるものであり、日本人にとっての誇りといえるだろう。
(文=アーク・コミュニケーションズ)