2015年12月、米サンフランシスコ市で最大のタクシー会社であるイエローカブが破産しました。原因は、配車アプリのUber(ウーバー)などとの競争激化でした。
ウーバーらが提供するサービスは、スマートフォンの専用アプリから近くにいるタクシーを呼び、支払いは事前登録したクレジットカードで自動決済されるため、現金を扱わないのでドライバーにとっても強盗などの心配が少ないとされています。また、ドライバーと乗客が互いに評価しあうシステムもあり、簡単で安く接客態度も良い場合が多いといわれています。しかし、ウーバー自体は基本的には自社のクルマを保有せず、ドライバーもいません。
ウーバーや、「民泊」と呼ばれる個人宅に宿泊するためのマッチングを行っているAirbnb(エアビーアンドビー)などに共通するビジネスモデルは、シェア型のプラットフォームビジネスといわれているものです。これは、「稼働していない」人やモノを有効利用したい者と、それらを安く利用したい者をマッチングさせるビジネスモデルです。
今、あらゆる業界でこうしたシェア型プラットフォームベンチャーが、既存の業界秩序を破壊するほどの影響力を持つようになってきています。
エアビーアンドビー
2008年創業のエアビーアンドビーは宿泊施設を一切所有せず、インターネットで空いている個人の部屋、使っていない別荘などを借りたい人に仲介するだけのビジネスモデルです。宿泊するゲストは本人確認が義務付けられ、宿泊後は互いの態度を評価しあうことでクオリティ(質)の高いサービスを実現している点も特筆すべきところです。世界中で展開し、取扱う部屋数は世界最大級のホテルチェーンと同じレベルになっています。
従来のホテルなどでは、設備などのハード面での評価を行政が行い認可・許可などをしていますが、シェア型プラットフォームでは最初は誰もがサービス提供者になれるようにハードルをさげる一方で、利用者による評価システムによって良いサービス事業者とそうでない事業者を峻別することでクオリティの管理を行っているのです。
万一の場合に備えて、100万ドル相当の保険も付与されています。そしてほかのユーザーは利用前にそれらの評価を参考にできます。エアビーアンドビーの収益源は、部屋を貸したい人から宿泊料金の3%程度、ゲストからは6~12%の手数料を取るモデルです。